甲子園では

球春、高校球児の熱い闘いがくり広げられている。

2年前、私は文部科学大臣として甲子園のマウンドに立った。

ただ私は自ら始球式を行う事を辞退し、

第一回大会優勝校高松商業の選手にボールを託した。

甲子園のマウンドに立つ事を夢見て練習に励んできた高校球児にチャンスを与えたいと考えたからである。

私が投げるものと期待してテレビを見ていた多くの皆さんからお叱りを受けたが、

私は今でも正しかったと思っている。

先週末からセリーグも開幕、阪神タイガースは2連勝と順調なスタートを切った。

ここで一揮にスタートダッシュ(3連勝)と期待もしたが‥‥、そうはならないところが阪神タイガースらしい。

今年も一喜一優のシーズンになりそうな‥‥

そんな予感がする。

国家の存立

自民党では鳩山邦夫元総務大臣の離党、

民主党では生方幸夫副幹事長の解任と、何かと話題の多い一週間だった。

これらの事件の影響か、

フジテレビ報道2001の調査によると、

自民(16.8%)・民主(20.8%)とも支持率を下げ、

支持政党なしの数字がついに5割を超えた。

政党政治、民主主義の危機である。

国民感覚を無視した永田町の振る舞いが、この数字となって現れている。

両党とも、この結果を重く受け止め、政治への信頼回復に早急に取り組まなければならない。

昨年の民主党マニフェストではないが、無党派層が増えれば増えるほど、

耳あたりの良い、無責任な選挙公約で有権者の関心を惹こうとするのが世の常である。

前回も指摘したが、日本の財政は危機的状況にある。

これ以上、どこかに打ち出の小槌が隠されているかのような、誤ったメッセージを送り続けることは許されない。

国と地方を併せてGDPの1.8倍にのぼる債務残高は先進国中最悪。

さらに22年度予算案を家計にたとえると、

給料が374万円なのに、106万円の貯蓄取り崩しと443万円の借金で、923万円の支出をしようとしている。

これが我が国の懐具合の現実である。

「信なくば立たず。(民無信不立)」

国家の存立には、食糧の充足よりも、軍備の充実よりも、

国民と政治家の信頼関係が重要と説く政治の根本…

多くの政治家が座右の銘としてきた孔子の言葉が2500年の時空を超えて今もなお生き続けている。

「警告」に思う

 文芸春秋の四月号に掲載された与謝野馨元財務大臣の寄稿、(さらには鳩山前総務大臣の新党設立発言)が大きな波紋を呼んでいる。

 ヘッドラインが「新党結成へ腹はくくった」、サブタイトル「谷垣総裁には失望した。私が決断を下す時が来た。」となっているのだから、波紋を呼ぶのは当然である。

 ただヘッドライン、サブタイトルとも必ずしも真意を正確に伝えていると私は思わない。

 与謝野氏は、日本が直面している状況の深刻さ、そして政治の危機感のなさを訴えるべく、警告を発したのである。

 少なくとも先日の有志の勉強会で、与謝野氏の口から直に話を聞いた同志は、その主張に共鳴し、危機感を再認識した。

 鳩山内閣の支持率は30%を切る直前、危険水域近くまで下落している。原因は、政治と金、総理の発言のぶれやリーダーシップの欠如、一向に見えてこない成長戦略など、色々考えられるが、一言でいえば、国民が政権交代に託した期待に応えていないからだ。

 いやむしろ、旧来型の金権誘導政治に後退している感さえある。

 しかし半面、本来なら新たな受け皿となるべき自民党への支持も盛り上がらない。党再生、そして現政権に対抗する政策方針の具体像が一向に見えて来ないからだ。

 与謝野氏の危機感はその様な現状認識に起因するものである。

 何よりも自民党が一致結束すべき時であるとの執行部の主張は正しいが、結束の為にも解党的出直しに再手しなければならない。厳しい議論を重ね、すべての党員が合意できる新しいビジョンを一日も早く示さなくてはならない。

 政策論を競い合うことをおそれてはならない。自民党の強みは、自由闊達な党風のもと、多彩な人材が主張をぶつけ合い、合意を得てきたことにある。

 谷垣総裁のリーダーシップのもと直ちに人心の一新を含め、新しい自民党の姿を明確に打ち出すべきである。

 参議院選挙を目前にして我が党に与えられた時間的余裕はない。そして、今の日本にもそれ程時間的余裕があるとは思えない。

仕分けの前に

 雪不足で開催準備が間に合うのかとの懸念もあったバンクーバー冬季オリンピックも大盛況のうちに閉幕した。

 人口約60万人(カナダ第3)の都市で開催されたということもあるだろうが、どの競技会場も多くの観衆で溢れていたのが印象的だった。

 日本の選手団は銀3銅2の計5個のメダルを獲得した。日の丸を背負って全力を尽くして頑張った選手の皆さんに心から拍手を贈りたい。

 今回の獲得メダル数が多いとみるのか少ないとみるのかは意見の分かれるところだ。しかし「参加することに意義がある…」と言いつつも、お隣の韓国選手団の大活躍を見て、競技スポーツ強化の必要性を感じた方も多いのではないだろうか。

 日本の選手強化費は国費ベースで27億円。対して14個のメダルを獲得した韓国は100億円、30個のメダルを獲得したスポーツ大国ドイツは275億である。

公務員制度改革

 今国会で私が注目している法案の一つが国家公務員法改正法案である。

 私がこの法案に特別な思いを持つのには理由がある。

 昨年の通常国会で、同法案の与野党協議の窓口役を担っていたからだ。4月の提案から3ヶ月の協議を経て、残る課題は労働基本権(スト権・団体交渉権)の記述方法のみ、あとは民主党内の調整を待つのみとなっていた。

 にもかかわらず、結局、野党の不信任決議案の提出で全ての審議はストップ、3ヶ月の労苦は水泡に帰した。 既に解散総選挙の日程が決まっていたにも関わらず、何故不信任案を提出されたのか…。北朝鮮の船舶検査法も成立見込みとなっている情況で、何故審議拒否する必要があったのか、私は非常に腹立しい思いだった。

 今、政府与党となった民主党は、「政治とカネの議論よりも、政策議論が優先」という主張を繰り広げている。その説を否定はしない。しかし、声高に叫ぶのは、自らの過去の行いを深く反省してからにしてもらいたい。

 さて、今回提出された国家公務員法改正法案では、中央省庁の人事を内閣人事局に一元化し、降格も含め幹部人事を政治主導で行なえる内容となっている。

 基本的な理念は昨年の修正案と同じであるが、人事局が扱う対象者が事務次官から部長級までと広がった結果、約600人の人事を扱うことになる。

 各省庁の幅広い行政分野、様々な職種にわたる約600人もの人物評価、業績評価が一括して公平に行えるのか?はなはだ疑問である。

 それ以前に、このような人事システムに一気に移行することが可能なのだろうか?アメリカやイギリスのような猟官制度は、その人材供給源となる政策シンクタンクが多数存在するからこそ成り立っている。

 ある意味で、政策立案を霞ヶ関の官僚の能力に(少なくとも当分の間は)依存せざるを得ないわが国には、ちょっと不適合、機能不全を生じるのではないか。

 将来的には、政党の政策立案能力に磨きをかける必要があることは言うまでもない。
 
 しかし、民主党新人議員は言うまでもなく、ベテラン議員と言えども(官僚OBはさておき)、法律案を自ら作成し、複雑な税制を自ら動かせる人材は希である。

 今は、政治主導にこだわるよりも、官僚が誇りを失う事なく省益を超えて、国家のために仕事ができるシステムを構築すべきではないだろうか。

 政治家に必要な資質は、有能なスタッフの能力を十分に惹きだし、有効な政策を立案、実行させることである。

 原案どおり可決されるのであれば、恣意的な人事を防ぎ、公平な評価で、官僚のモチベーションを高める制度運用を国会の議論で明らかにするべきである。