審議拒否について

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先週金曜日(20日)、田中直紀防衛相と前田武志国土交通相に対する問責決議が、参議院本会議で可決された。 田中防衛相は就任して約3か月間、国会答弁などで失言や迷走を重ねてきた。答弁のたびに右往左往し、副大臣や秘書官に助けられる姿に、「この大臣で日本の安全保障は大丈夫か?」と不安に思った国民も多かっただろう。北朝鮮のミサイル発射時の不手際が致命傷となった形だ。 前田国土交通大臣は、15日に行われた岐阜県下呂市長選で、特定候補に対する支援を要請した文書に大臣名で署名し、告示前に地元の建設業団体幹部らに送附されたという事実が発覚。公選法が禁じる「事前運動」と「公務員の地位利用」の2点付抵触する可能性が指摘されている。 両氏の行いとも問責に値することは間違いないが、昨秋の一川氏、山岡氏に続き、こうも問責決議が続くと国民も辟易としているのではないか。 一義的には野田総理の任命責任。すなわち党内融和を優先する余り、適材適所の人事ができていない点にある(特に防衛大臣について)。しかし一方で、問責する野党側も、権利行使のタイミングをよくよく考えるべきではないだろうか。 問責決議が可決されれば、当然、野党は対象閣僚が出席する会議への参加を拒まざるを得なくなる。いわゆる審議拒否で国会が停滞する構図だ。果たして今はそういう政局に引きずり込むべき時期だったのだろうか? 案の定、野田総理は両閣僚を続投させる意思を示し、お二人とも辞任するという素振りもない。したがって、しばらくの間(両閣僚が交代するまで)国会は開店休業状態となり、社会保障と税の一体改革もエネルギー問題もTPP参加問題も、先送りされることになるだろう。うがった見方をすれば、消費税増税法案の国会審議を先送りしたい民主党執行部の策に、自民党がはめられた(乗った)形だ。 しかし、今は国会を空転させている局面ではない。 「決められない政治」に国民の不満が募っている今、「職場放棄」とも言える「審議拒否」による足踏みは何としても避けなければならない。与野党が、駆け引きに終止して国会の停滞を長引かせれば、政治不信は増々広がるだろう。 両大臣が辞任されるのが最も簡単な解決方法だが、それが望めないのなら、自民党としても問責決議可決の体面を保ちつつ審議を進めるための知恵を絞るべきだ。 例えば、両大臣は認めないと決めたのだから、副大臣に委員会等への出席を求め、大臣には一切質問しなければ良い。委員長が指名して両大臣が答弁しても、その発言は無視し、副大臣に再質問すればいいのだ。正規の姿とは言えなくても、審議拒否で停滞するよりはましだろう。 野田総理も消費増税法案の閣議決定前に「今国会成立に命を賭ける」とまで言われている。この大仕事を為すためには、お二人の閣僚を交代させるくらいは小さな問題ではないのだろうか? それとも心の中では自民党の責任で審議が空転するならそれも良しと考えておられるのだろうか? ぜひとも英断を期待したい。…