国会召集

年末総選挙で費やした時間を取り戻すべく、年明け早々から緊急経済対策を具体化する26年度補正予算と27年度当初予算の編成作業が同時並行的に進められた。例年この時期は地元での新年行事が目白押しだが、今年は予算獲得に向けた各政調部会が頻繁に開催されたため、地元と東京往復の繰り返しで多忙な年明けとなった。

そして昨26日、これらの予算案を審議する第189通常国会が召集された。

開会に先立つ自民党両院議員総会で、安倍総理は「緊張感を持って成果を出す『改革断行国会』にしたい」と表明。午後からは天皇陛下をお迎えしての開会式の後、麻生太郎副総理兼財務大臣が衆参両院本会議で景気対策を柱とする補正予算案についての財政演説を行った。いよいよ国会論戦の火蓋が切って落とされるが、与党の一員として緊張感を持って臨みたいと思う。

予算編成と並ぶ今国会のテーマは「安全保障法制」だが、国会論戦を前にして正に我が国の危機管理体制が試されるような事件が起こってしまった。ISIL(イラク・レバントのイスラム国)による2人の日本人の拘束だ。

ネットで全世界に配信された処刑予告と法外な身代金の提示は、我が国を大きな衝撃で覆い、続いて24日深夜にもたらされた湯川遥菜さん殺害との情報に全国は悲嘆で包まれた。我々は残された一人、後藤健二さんの救出に向け、あらゆるチャンネルを通じて最大限の努力を払わなければならない。また、「テロには絶対に屈しない」という政府の姿勢を私も支持したい。

ISILから日本国民に発信されたメッセージは、世論を喚起することによって、日本政府が方針を転換して交渉に応じるように呼びかけてもいる。一部メディアの解説者もこれに呼応するかの如く、安倍首相が提唱した避難民等に対する人道上の食料、医療などの援助が、今回の拉致の伏線をなしているかのような発言をしているが、私は強い違和感を覚える。

様々な意見や考えを否定することはできないが、現在進行中のこの種の事件についての不用意な発言は厳に慎まなければならない。民主党の岡田新執行部は今回の拉致事件への政府の対応について、「全面的に協力する」と表明しているので問題はないと思うが、国会における議論でも十分に配慮する必要がある。

今は、後藤さんが一日も早く解放されることを祈りつつ、政府の対応力を信じ、事態の推移を見守るしかない。様々な意見表明や議論は事件収束後に行われるべきである。

我が国の文化の基調は、「他者への思いやりの心」のように思える。異なる考えに対して寛容であるが故に、古来、海外からもたらされる様々な文化を受け入れ、和風に融合してきた。今、世界に求められているのはこのような共生社会の実現に向けた志向ではないだろうか。

先週開催されたダボス会議のテーマは「新しい世界の状況(The New Global Context)」。高まる地政学リスクへの対応についても議論が行われた。経済のみならず日常生活も世界化していく今日、こういった国際会議に積極的に参画し、日本の多文化共生の発想を世界に発信していかなくてはならない。

その前提として、我が国の良き伝統文化がしっかりと継承されているか? 足下を再確認することも必要だが・・・。

年末の総選挙を勝ち抜き、8度目の栄冠を手にすることができました。偏に、変わらぬご支持とご支援をいただいた皆様のお陰と感謝しております。選挙前後から中断していましたこのブログも国会開会とともに再開したいと思います。今後ともよろしくお願い致します。

年頭の挨拶 2015

明けましておめでとうございます。健やかな初春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年末の総選挙によりアベノミクスを掲げる第二次安倍内閣の政策は国民の信任を得ることができました。これまで2年間の取組を礎に日本経済の成長軌道をより確かなものにしていかなければなりません。与党が衆議院で三分の二の議席を占めるという数の力に傲ることなく、野党各党との対話と相互理解を基調に安定した国政運営に努める必要があります。

第一の課題は、地方の力で日本全体の成長を実現する地方創生の推進です。
効率と画一を重視した政策は東京一極集中と地方の疲弊を招きました。日本全国に元気が息吹く時代を創生するため、地域特性を生かせる地方が主役の地方創生を進めます。併せて日本の知力を生かした経済成長を実現するため、京やSACLAなどの先端科学技術基盤の産業活用を促進します。

第二に、日本の考えを世界に発信する積極外交と通商政策を展開します。
21世紀の世界経済を牽引するアジア・太平洋の中核に位置する日本は、知的所有権をはじめ経済連携のルール作りを主導しなくてはなりません。その礎ともなるのが安全保障政策です。日米同盟を基軸とした積極的平和主義外交を展開し、平和で安定した国際社会構築に貢献します。

第三には、安心して暮らせる健康長寿社会の実現です。
社会保障制度改革は緒に就いたばかりです。消費増税は1年半延期しましたが、少子化対策の充実をはじめ、なし得る改革に直ちに着手しなくてはなりません。人口が減少しても持続可能な社会保障制度の実現に向けて、自助と共助の発想を取り入れた公平な受益と負担の関係を築きます。

これらの政策を実行する基盤は、政治への信頼の確立です。「信なくんば立たず」を肝に銘じ、しっかりと国民の皆様に説明し、ご納得いただき、そして責任を持って実行に移します。
今年も格別のご指導とご鞭撻をお願いいたします。

2015年元旦