球春到来、戦いの季節

今年も早や、全国各地から桜の開花報道が届く季節。我らが阪神タイガースのホームグランド甲子園では、第87回選抜高校野球大会“センバツ”が始まった。いよいよ“球春”の到来である。

今大会の見所は史上5校目の夏春連覇を目指す大阪桐陰の動静だが、秋の新チーム編成を挟む形になる“夏春”連覇は“春夏”より数段難しい。紫紺の優勝旗の行方は気にかかるが、地元兵庫県からの出場校がないのは極めて残念である。

3月27日にはプロ野球も開幕を迎える。

去年は最後の最後で大魚を逸したがシーズン最後まで楽しめた。バース、掛布、岡田の甲子園バックスクリーン3連発は1985年、その勢いで初の日本一に輝いた。あれから30年、「今年こそ、今年こそは日本一や」と、トラキチは開幕日に願いをかける。

下馬評では、投手陣の先発、中継ぎ、抑えの整備が例年になく整ったと聞く。今年は勝利の雄叫び「六甲おろし」の大合唱が聖地・甲子園で何度聴けるか、今から楽しみだ。どうか選手の皆さんはファンの期待を裏切らないで頑張って欲しい。

一方、国会での戦いに目を移すと、平成27年度予算案をめぐる論戦が終盤を迎えている。今国会は冒頭に補正予算案の審議を行ったため、当初予算案が衆院から参院に送付されたのは3月も半ばの13日のこと。現時点で残すところ1週間では、さすがに年度内成立は難しい。

予算案に関しては衆院の議決が優越するので、予算は遅くとも4月11日には自然成立するものの、2年ぶりの暫定予算は避けられない情況だ。

そんな中、4月3日から統一地方選の前半戦が始まる。

安倍自民党が、「日本を取り戻す」をスローガンに政権を奪還して2年間が経過。アベノミクス3本の矢によって日本経済のマインドは大きく変化した。今春の大手企業の賃上げラッシュが物語っているように、経済の基調は企業の業績回復が賃金を上昇させ、さらなる消費の拡大をもたらす、プラスの循環へと転じつつある。この動きが大企業に止まらず全国津々浦々の中小企業からも沸き上がってこそ、日本全体の景気回復が成し遂げられる。地方の活力なくして真のデフレ脱却はない。地方創生が大きな政策課題となる所以である。

効率重視、大都市優先の従来型政策は、東京一極集中を招き、ふるさとの個性を埋没させてきた。しかし、巷で論じられているような「人口減少による“地方消滅”」などという現象は決して許してはならない。そのためにも、地方がそれぞれの特性を活かした自立力を高めることが求められる。

昨年、地元兵庫の県議会は政務活動費をめぐって大きく揺れた。4月12日に投票日を迎える県議会議員選挙では、当然のことながら有権者の候補者に対する目線は従来よりも厳しいものとなるだろう。その有権者の皆さんに議会改革をしっかり訴え、故郷の将来を創る政策をしっかりと論じあい、後の世に全国の地方政治改革の起点となったと誇れるような選挙戦を繰り広げてもらいたい。

私も全力を注いで同士を支援していく所存である。

18歳選挙権

先週5日、与野党6党は選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法の改正法案を衆議院に提出した。今国会中に成立する見通しで、来年夏の参院選から適用される。

選挙権年齢の変更は昭和20年(1945年)に25歳以上から現行の20歳以上に引き下げられて以来70年ぶり、18・19歳の約240万人が新たに有権者に加わる。

欧米をはじめ世界では18歳以上が選挙権を持つ国が圧倒的に多い。G8でも日本以外の7ヶ国はすべて18歳以上だ。ようやく日本も国際標準に並ぶことになる。

一方で、未成年者への選挙権付与については「まだ判断力が十分ではない」などの慎重な意見もある。現に先週の党文部科学部会でも強い反対意見が出され、それに共鳴する議員も多くいた。我が家でも、私は賛成だが妻は反対と、夫婦間で意見が分かれている。

私が思うに、日本の若者だけが未熟で選挙権を行使するに足る判断力を欠くということもあるまい。むしろ選挙権の付与により社会的責任を自覚させる効果もある筈だ。

今年の大河ドラマで描かれている幕末の長州を思い起こして欲しい。当時、松下村塾で学んだ高杉晋作や久坂玄瑞、伊藤俊輔など、皆10代後半の青年だ。先生の吉田松陰も30歳に達していない(29歳で没)。彼らは堂々と日本のあるべき姿、進むべき道を語り合い、行動に移していった。

人は置かれた環境によって、いかようにも育つ。今必要なことは、青少年の能力を不安視するよりも、若者の政治への関心を高め、必要な判断材料を付与する環境の整備だろう。

その意味で、教育が担う役割も大変重要だ。文科省と総務省は来年の参院選での実施を視野に入れて、選挙制度の解説や模擬選挙、請願の書き方要領などを盛り込んだ高校生を対象とした副教材の作成を急ピッチで進めている。

問題は教育現場での使い方にある。

大学はもちろん、高等学校や中学校でも、かつての松下村塾に集った志士のように、学生が自由に国の形を議論しあう、歴史上の事実や時事問題を通じて活発なディベートが繰り広げられることが私の理想だ。中途半端な大人(教師)の介入は、自由な発想を妨げ、ともすれば政治的中立性を揺るがすことにも成りかねない。

現状、若者の政治への関心は極めて低い。昨年末の衆院選投票率が示すように、20~24歳の投票率(30%)は70~74歳(72%)と比べると半分にも満たない。この状況では、シルバーデモクラシーと揶揄されても仕方がない。社会保障分野をはじめ高齢者に手厚い政策が重視されるのは当然の成り行きだろう。

しかし、日本の未来を創るのは若者たちだ。

将来を担う青少年の政治参加の拡大は、政党にとって正にレーゾンデートル(存在理由)だ。今回の制度改正を若者の政治参加を促す契機とし、日本の政治を変えて行かなくてはならない。

選挙権年齢の引き下げは、憲法改正に必要な手続きを定めた国民投票法が求めていた宿題でもあった。今回の公選法改正によって憲法改正に向けた環境整備が一歩前進することにもなる。

この権利を行使するに相応しい、「自立心ある若者の決起」を期待したい。