「挑む Tigers Change」

今年の冬将軍は立春を過ぎても弱まりを見せず、寒波が度々来襲。特に西日本の日本海側、特に山陰や中国地方の降雪が際立つ。11日には鳥取県や兵庫県の但馬で例年の10倍もの積雪を記録し、山陰線や高速道路が長期にわたり麻痺した。その後も日本列島は寒暖の変化が激しい日々が続き、体調管理が大変である。

そんな中、今年もTV各局のニュースのスポーツコーナーでは、プロ野球各球団のキャンプ便りが主役となってきた。毎年のことながら、各チームともペナントレース優勝を目指して始動している。

昨シーズンは“超変革元年”を掲げ、若手選手にチャンスを与え補強せずの方針で臨んだ金本タイガース。

ルーキー髙山をはじめ、実績にとらわれずに新しい戦力を積極的に投入し、若手の活躍を引き出した。その結果、開幕から好調に滑り出し、セ・パ交流戦前までの成績は25勝25敗3分け。

金本新監督のスローガン通りの新鮮な采配に大きな期待が集まった。だが、交流戦を7勝11敗と負け越すと、その後は完全に失速して、一時は15年ぶりに最下位に転落する。最終的には64勝76敗3分で勝率は0.457の4位。ペナントレース優勝どころかクライマックスシリーズへの進出も果たせなかった。日本シリーズは、日本ハムVSカープで行われ、大谷翔平を擁する日本ハムが日本一に輝いたのは周知の通り。

私なりに分析すれば、タイガースの昨年の成績不振はローテーション投手の不調に尽きる。先発投手が序盤に失点を重ね、試合半ばで勝負が決まってしまうケースが目立った。メッセンジャーはともかく、藤浪、能見、岩田のパフォーマンスが軒並み悪かった。大黒柱のはずの藤浪が7勝11敗では話にならない。プロに復帰し、先発にまわった藤川にも往年の球威は残されてなかった。

唯一の救いは、3年目で開幕ローテーション入りし10勝9敗、防御率2.90の好成績を収めた岩貞の台頭。先発投手の再建、整備が喫緊のチーム課題だと思う。

一方の打撃陣も、ゴメスの不振と鳥谷の精彩なさが際立った。鳥谷はチームリーダーに指名された重圧によるものか、それとも衰えなのか?復調を期待したい。

今年のチームスローガンは“挑む Tigers Change”。

「どんな相手にも立ち向かう。どんな局面にも己の限界にトライする。その精神を全員が強く持ち、タイガースが変革し続ける一年にしたい」。2年目の金本監督は、自分たちは挑戦者だと改めて宣言した。

3年間で65本のホームランを打ったゴメスは退団したが、新たに日ハム、オリックスで活躍した糸井が加入した。18日の屋外フリー打撃で44スイング中11本の柵越えを連発するなど、“超人・糸井”のスラッガーぶりが報道されている。

今年の打撃陣はこの糸井をはじめ福留、鳥谷、西岡の主軸に、有望な若手たちが加わる。タイガースの新人安打数を塗り替えセの新人王に輝いた髙山、育成から這い上がってきた原口、そして、鳥谷の座を脅かす北條などだ。

監督が目指す若手生え抜きを「育てながら強くする」という、ブレない方針が結実しつつある。投攻守が噛みあった戦いを繰り広げ、シーズン終了まで頑張って欲しいものだ。

懲りもせず“タイガース優勝”の淡い期待を抱きながらキャンプ地便りを追っかけている今日この頃である。

昨年はペナントの行方に早々と興味を失い、一度も甲子園球場に足を運ばなかった。今年こそは是非、あの歓喜のスタジアムを体感してみようと思う。2年目のチャレンジャー金本監督と選手たちが繰り広げる熱き戦いを目の前に、5万人のトラキチとともに声援を送りたいものだ。聖地甲子園球場で「六甲おろし」を熱唱できる夏の日を楽しみに、しばし国政に専念したい。

国会論戦スタート

平成28年度第3次補正予算成立を受けて、1日から新年度予算案の本格的論戦がスタート。

 

3日間の審議過程で明らかになった今国会の中心的な政策議題は、①トランプ政権誕生に伴う安全保障と経済関係の「新日米関係の構築」、②国際組織犯罪防止をめざす「テロ等準備罪新設」、③長時間労働規制等を盛り込んだ労働基準法の改正による「働き方改革」の三点である。

 

まず、新たな日米関係の構築についてだが、安全保障を経済・通商の取引材料とするようなことは絶対避けなくてはならない。幸い、早々とマティス国防長官が来日し、アジア太平洋地域の平和と安定に日米軍事同盟が重要であることを再確認できた。今後の交渉に向けて大きな収穫である。一方で、新国防長官が最初に、政権発足後わずか2週間で、NATO諸国ではなく日韓を訪れたことは前代未聞。それだけ、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発、中国の力による南シナ海への進出が東アジア地域の緊張を高めているとも言える。

 

通商政策では、トランプ大統領がTPP離脱を宣言し、二国間交渉への方向転換を明示した。そして貿易赤字の原因を相手国の政策に転嫁し、対象国を見境なく批判している。しかし、自動車輸出入の不均衡について我が国とトヨタを槍玉にあるのはお門違いだ。

米国が2.5%の自動車関税を課しているのに対して日本はゼロ、理不尽な非関税障壁があるわけでもない。その証拠に欧州車はどんどん輸入されている。むしろ日本の自動車産業は30年も前から米国での現地生産を行い、今では150万人もの雇用を生み出している。

 

10日に予定されている安倍総理とトランプ大統領との首脳会談では、総理から米国のモノづくり産業の振興に日本企業が如何に貢献しているかを説明することになるだろう。そして、インフラ整備や雇用確保に向けての協力、モノの輸出入のみでなく投資や知的財産に関する多国間のルールづくりが如何に重要かなど、両国の経済発展に向けた未来志向の協議をして欲しいものだ。

 

次に「テロ等準備罪」だが、野党の質問は従来の共謀罪か否かという形式論やレッテル貼りに終始し、法案の内容についての議論に至っていない。協力行為の必要性を認めながら、「個別的自衛権で説明できればOK」で、「集団的自衛権ならNO」といった一昨年の安全保障法制の議論とどこか似ている。

 

この法案の目的は、国際組織犯罪防止条約に加入するための国内法制整備であり、我が国を国際組織犯罪から守るための国際協力の一層の強化である。オリンピック・パラリンピックを控え、政府は野党の質問に惑わされず、法案の趣旨と内容を丁寧に説明し、国民の不安を払拭するとともに理解を得ていかなければならない。

 

三つ目に「働き方改革」。アベノミクスの主役となるべきテーマのはずだが、どうも過労死問題に端を発する長時間労働是正のみが注目されている感がある。確かに私自身もサラリーマン時代には残業が月100時間を超えることも日常茶飯、時間管理には苦慮したものだ。時間外労働の上限設定も必要だろう。

しかし、働き方改革の本質は、多様な働き方の実現を通じた生産性の向上ではなかったか。

 

工業社会の時代に作られた、労働の対価を時間で計測する制度から、知的創造力の時代に適した制度に、成果指標で業績を評価することも検討しなくてはならない。成長分野に人的資源を迅速に投入するため、雇用の流動性を高める仕組みも必要だ。政府の法案提出により、本質的な働き方改革の議論が始まることを望む。

 

最後に、政策議論ではないが、文科省から端を発した天下り問題について。

数年前に規制ルールを強化したばかりなのに、なぜ、その直後から法の網をくぐるようなことが起きるのか? 制度のあり方よりも組織全体の倫理観、公務員としての資質が問われるべきだろう。国民の信頼が揺らいでいるのは残念だが、今回の不祥事で教育行政が滞ることがあってはならない。

 

文科省が今国会に提出する法案は、「給付型奨学金の創設」、専門職大学の仕組みづくりための「学校教育法の改正」、そして地域に密着したコミュニティスクールの設置を目指す「地方教育行政法の改正」など、いずれも重要な法案である。

人材育成への投資は未来への投資である。いま、教育投資の拡大を計らなければ、この国の未来はない。

 

以上、これまでの予算委員会審議への雑感を述べた。

世界各地で変革への動きが高まるなか、人口減少という課題を背負う日本。長期的視点に立った制度構築と、目の前の変化への機敏な対応力で未来を開きたい。当初予算の早期成立はその第一歩だ。