メダルラッシュ!

10日から12日までの3連休、“第2回日韓議会未来対話”に参加する目的で韓国を訪問した。この会議は衆議院と大韓民国国会との公式な議会間交流で、政府とは立場の違う議会人同士が直接対話を行うことで、両国間の相互理解を深める目的で立ち上げられたものだ。最初の会議は、平成28年5月に東京で開催されている。今回の会議は本来、昨年11月にソウルで開催予定であったが、解散総選挙により今年にずれ込んだ。

 

日本側出席メンバーは、大島理森衆院議長をはじめとする超党派の8名(自民4名、立民、希望、公明、共産各1名)。韓国側も丁世均(チョン・セギュン)国会議長をはじめ超党派の議員が出席した。今回のテーマは、①北朝鮮による核・ミサイル挑発が続く中での朝鮮半島の平和構築に向けた日韓協力、②文化・観光などの日韓人的交流の活性化であった。

 

お互いの立場を主張する建前の話し合いではなく、本音をぶつけ合うという会議の主旨から非公開となっているため、対話の内容についての言及はここでは控えたい。

国民の代表として選挙で選ばれた立法府の議員という立場で率直な意見交換が行われ、大いに相互理解を深めることができ、ギクシャクする日韓関係にとりとても有意義だったと思う。

 

折しも平昌冬季オリンピックが開催中で、幸運にも(と言うより、オリンピックにあわせてスケジュールを決めたらしいが?)、女子アイスホッケー(スウェーデン戦)とフィギア団体戦を観戦することができた。どちらの競技も初めての観戦だったが、実際に現地で観る臨場感は体験してみないと分からない興奮と感激があると改めて知った。

開会式に出席された安倍総理も女子アイスホッケーの応援に駆け付けられた。残念ながら勝利することはできなかったが、1対0とリードを許していた日本が同点に追いついた時には大いに盛り上がった。

 

現地の寒さが非常に厳しいと聞き、万全の防寒準備をして渡韓したのだが、我々が訪れた当日は比較的穏やかな天候で、覚悟が空回り(?)した感もあった。それでも前日の夜の開会式に参加した議員仲間の話では、3時間に及んだ式典の最後の方では体感温度はマイナス10℃位で、爪先の感覚がなくなりそうだったと言う。

 

日本選手団の大会前半の成績は、金メダルが有力視されていたスノーボード・ハーフパイプ、ノルディック複合、女子スピードスケートなどの種目が銀メダルに終わり、列島全体に軽いフラストレーションが貯まりかけていたのではないかと思う。

 

そのモヤモヤを払拭してくれたのが、男子フィギアの羽生結弦選手と宇野昌麿選手。羽生選手は右足首の負傷から3カ月、ぶっつけで本番大会に臨み見事に連覇を達成! また、ショートプログラム3位から滑走した宇野選手も銀メダルを獲得した。日本勢のワンツーフィニッシュは、大きな感動を届けてくれた。

 

前日の興奮も冷めやらぬ日曜日のスピードスケート女子500mでは、ワールドカップ15連勝の小平奈緒選手が期待通りの実力を発揮。ただ一人36秒台(平地での世界最高記録)のタイムをマークして、悲願の金メダルを獲得した。これで日本の獲得メダル数は10個となり、これまで最高の長野大会と並んだ。

 

期待されながらメダルを逃し悔し涙を流した選手、メダルを獲得し歓喜の涙を流す選手、涙の種類は違っても全力を尽くした選手たちの姿は最高に輝いている。残された日程はあと一週間となったが、まだまだメダルの期待が予想される種目も残っている。国民の期待を一身に背負って戦いに挑んだ選手たちに、心から拍手を送りたい。

憲法改正

1月22日に開会した第196回通常国会、29日からは予算委員会で平成29年度補正予算の審議が行なわれた。
一方的に質問し一方的に答弁する本会議の代表質問と違って、予算委員会での質疑は一問一答形式。同じテーマについて角度を変えて繰り返し質問することができるので、より議論を深めることが可能だ。

問題はその議論の内容である。予算委員会は内閣が提出する予算案について、その適否を審議することが本来の役割。しかし、実際の審議では政府の様々な施策をめぐって論戦が展開される。予算は政策実行の重要な手法であり、関連する政策課題について審議が及ぶことは許されるだろう。しかし、予算案と全く無関係の話題に時間が割かれるのはいかがなものか。

ニュース番組の映像も政策論争よりスキャンダルの追及が多くを占めている。いくら国民の関心が強いと言っても、政策議論への時間配分に、もう少し配慮があってもよいのではないだろうか。

ところで安倍総理が召集日の党両院議員総会で強い意欲を示した“憲法改正”問題。
31日の参院での答弁でも、「最終的には国民投票に帰するもので、国民投票を実現する為に国会で真摯な議論を深める必要があり、私たち(議員)にはその義務がある」と強調し、「党利党略ではなく、前向きに取り組み良い案が出ることを期待したい」と憲法改正議論の前進を要請した。

現憲法は昭和21年(1946年)11月3日に公布され、71年が経過した。
「平和憲法」として国民に親しまれ、我が国の平和と繁栄の礎になったことは率直に評価するが、これだけの時が経過すれば法の成立基盤である社会情勢も変化する。とりわけ、激動する北東アジアの情勢を踏まえれば、祖国を防衛する自衛隊の明確な位置づけは喫緊の課題ではないだろうか。さらには、南海トラフ地震のような危機管理に備える緊急事態条項の追加、成熟の時代にふさわしい地方自治権限の明確化など、対応すべき課題は数多い。

私も前号のコラムで言及したが、今後は各党が党内議論を深め、それぞれの党案を国会の憲法調査会に提案し、国民に情報を提供し国民的議論が深まるようにしなければならない。

そうでなければ憲法についての国民の理解も深まらない。

自民党は昨年の総選挙で、公約の柱の一つに憲法改正4項目「1.9条に自衛隊根拠規定の追加 2.緊急事態条項の創設 3.高等教育無償化 4.参院選挙区『合区』解消」を掲げ、戦った。

4つ項目のうちすでに、緊急事態条項は国会議員の任期延長論で、合区解消は都道府県1名以上とするなど、概ね意見集約を得ている。高等教育の無償化については、政策パッケージに明記されるなど環境整備も進んでおり、あとは文言調整を残すのみとなった。

最大の課題は9条への自衛隊明記の方法だ。昨年末の中間報告では「①戦力不保持を定めた9条2項(注1)を維持し、自衛隊の根拠規定を追加する『加憲』と、②2項を削除し、自衛隊の目的・性格を明確化する」案の両論併記となっている。

一筋縄ではいかないと思うが、3月25日の党大会までに党内議論を重ね改憲原案の意見集約を図りたい。

多くの野党は、自衛隊の権限を変えずに根拠規定を追加する9条改憲に反対している。

立憲民主党は「憲法観が違うから議論すらしない」と明言しているが、まったく理解に苦しむ。60年安保以来、護憲のみを党是して万年野党に甘んじた旧社会党への先祖帰りと言えなくもない。

自衛隊は日本国にとって欠かかすことのできない組織であり、その活動には国民からも高い信頼を寄せられている。しかし、一方で、憲法の表記のあいまいさ故に、未だに多くの憲法学者から違憲の疑いをもたれている。

私は平和主義を堅持しつつ法治主義の観点からもこの疑義を払拭したい。理論的にベストでなくとも実現可能な案で、今こそ自衛隊の合憲性についての“神学論争”に終止符を打つべきだと思っている。

(注1)      前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。