国益

働き方改革が最重要課題と言われていた今年の通常国会だったが、法案提出前の厚労省のデータ不備問題でつまずき、肝心の「裁量労働制の拡大」を法案から除外せざるを得ない事態を招いた。   それに輪をかけたのが、朝日新聞がスクープした“森友文書書き換え問題”。3月に入ると予算委員会の審議は森友一色となった。 3月27日の佐川宣寿・前国税長官の証人喚問でも、(予想されたとおり)核心は明らかにならず、「何故、改ざんがおこなわれたのか」「誰が指示をしたのか」などの疑問は払拭されていない。これは、週末の世論調査(共同通信:支持42.3%、不支持47.5%、喚問納得できず72%)でも明白だ。政府は更なる説明責任を求められている。   森友問題に関しては、残された国民の疑問に速やかに応えたるためにも、政府と国会の立場で全容解明にむけ徹底調査の必要がある。院内に超党派の委員会設置も一案かもしれなない。   一方、国会が森友問題に明け暮れている間に、世界は大きく揺れ動いた。 3月初めに韓国が北朝鮮に特使を送り金正恩労働党委員長と面会。これを契機に北朝鮮を巡る外交が急展開し、4月27日には南北首脳会談がセットされ、5月までには米朝首脳会談も予定されることとなった。   この外交戦略の一環なのか、トランプ大統領は対話路線派のティラーソン国務長官を解任し、強硬派のポンペイCIA長官を指名。またイラク戦争開戦推進派だったボルトン元国連大使を大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に任命した。これは、半島情勢が融和に向けた動きを始める半面、米朝会談が決裂した場合には、軍事オプション発動の可能性が高まったということだろうか。 このような情勢を踏まえ、遅ればせながら、北朝鮮の「安全かつ検証可能で不可逆的な非核」を確認するための日米首脳会談も4月中旬にセットされた。また、5月上旬には日中韓首脳会談も予定されている。   我が国会が証人喚問で大騒ぎしていた3月25日から28日まで、金委員長が中国を電撃訪問した。その目論見は、叔父で政権ナンバー2であった張成沢氏の処刑や兄・金正男氏の暗殺などにより、冷めきっていた中朝関係の改善にあることは間違いない。   金委員長は「段階的かつ同時に朝鮮半島の非核化実現」を提案したようだが、この何の具体性もない言葉により中国の後ろ盾を得て、トランプ大統領との会談を有利に運びたいのだろう。米朝会談への影響力の如何はともかく、この訪問がしばらく蚊帳の外といった感があった中国にきっかけを与え、北朝鮮問題に関与を深める契機となることは確実だ。   日本ではあまり話題にならなかったが、先月中旬、米国で…