今年の党大会

昨年の党大会は政権移行の関係で3月にずれ込んだが、今年の第81回自由民主党大会は従前どおり通常国会前の昨日1月19日(日)に開催された。
幹事長による党務報告や優秀党員等の表彰、そして友党代表と経団連会長の来賓挨拶に続いて、安倍総裁と石破幹事長による「日本を元気にする!」を前面に出した熱のこもったスピーチが繰り広げられた。特に2020年の東京五輪・パラリンピック成功に向けての強いメッセージが印象的だった。

今年の党大会は私にとって特別の意味があった。
“党・政治制度改革実行本部長”の初仕事として取り組んできた「総裁公選規程の改正」が議事の一つとなっていたからだ。
従来の規程では、総裁選は「国会議員票と一般党員の都道府県票(300票)」で競い、過半数の票を得た者が当選する。過半数に達する候補がいなかった場合は、上位2候補による決戦投票を「国会議員による投票」で行うというもの。
5人の候補によって競われた一昨年9月の総裁選では、一回目の投票で一般党員の圧倒的な支持を得ていた石破氏が決戦投票で敗れた。ルールとは言えこの結果に、党内はもとより多くの国民やマスメディアから、「自民党は広く門戸が開かれた健全な国民政党であると言いながら、果たして党内民主主義が円滑に働いているのか?」という疑問が投げかけられた。

これに応じた当面の改善として、1年前の党大会で決戦投票に地方の声を反映させるために、都道府県支部に各一票を配分することを決めた。
加えて問題となってきたのが国会議員票と都道府県票のバランスだ。喜ばしいことではあるが、前回の総裁選の後、2度の国政選挙を経て、国会議員数が198人から407人へと倍増している。一方の地方票は300票。今後も国会議員数の増減が繰り返されることを前提に、バランスのとれた議員票と地方票の配分のあり方やカウント方法への改正が求められていた。

新しい自民党総裁公選規程は、開かれた国民政党に相応しい「よりフェアで、分かりやすい、安定した」制度としなければならない。私自身が課したこのコンセプトのもと、数次にわたり党内ヒアリングを繰り返し、意見を集約した結果、

①都道府県ごとに党員投票の得票数を集計し、党本部選挙管理委員会が算定する。そしてその得票数の総数をドント方式で各候補者に分配し、

②党員投票に基づく算定票は党所属国会議員数と同数(1:1、現在は407:407)とする

案を取りまとめた。

党意思決定への民意反映の第一歩であるこの案はそのまま承認され、次回の総裁選から適用される。しかし、党・政治制度改革のゴールは遙か彼方にある。二院制の是非や定数配分などの選挙制度改革、政治とカネをめぐる政治資金規制や政党助成のあり方、国と地方を通じた分権型統治機構の制度設計等々、我々の目前には課題が山積している。

チャーチルは「民主主義は最悪の政治体制である。ただし、これまでに試されたすべて体制を除けば」と語っている。一人ひとりに意思がある限り、すべての民意を完全に反映した政治というのは不可能だ。ただ、彼はこうも言っている「向上とは変化である。完全になるとは、しばしば変化することである」
社会は常に変動している。制度は定めたときから陳腐化が始まる。党改革も各種の政治制度改革も不断の見直しを続け、「民無信不立」を信念に理想の政治を求めていきたい。