地域おこし

今年のゴールデンウィークは、「2日(月)と6日(金)の両日に休みをとれば、10連休の超大型連休となる」という方が多かったのではないか。どちらか一方でも休めれば、7連休や6連休だ。JTBによると今年のGWは「海外旅行人数は昨年より2.8%増の54.6万人。国内旅行人数と海外を含めた総旅行人数はともに過去最高で、2,395.6万人」ということらしい。

巷間、景気の動向に関して、あるいはアベノミクスの成否について様々な意見が交錯しているが、この旅行動向は明るい指標を提示している。
この大型連休はふるさとへの帰省の時節でもある。懐かしい山河の初夏を味わい、ご両親、祖父母との語らいを楽しまれた方も多いだろう。

私のふるさと東播磨ではGWの時期に「国恩祭」という祭事が行われる。地域の22の神社が、毎年輪番で郷土の繁栄と安泰を祈念する春の大祭だ。今年の当番は、加古川市の平之荘神社と明石市の御厨神社。私は4日に平之荘神社のお祭りに出席させていただいた。

この国恩祭は江戸時代の天保年間(1830年代)に起こった大飢饉に由来する。飢饉による人心荒廃を憂いた加古郡と印南郡の神職が集い、「祓講」という神社組合組織を結成して臨時の大祭を行ったのが始まりといわれている。180年以上の歴史を有し地域に根差した財産ともいえる文化行事となっている。

このような地域の伝統文化を「地域おこし」に活用しようとするのが“日本遺産”(Japan Heritage)の認定制度だ。平成27年度からスタートし、この2年間で37件が認定されている。兵庫県内では、「丹波篠山 デカンショ節 -民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶」「『古事記』の冒頭を飾る「国生みの島・淡路」~古代国家を支えた海人の営み~」の2件だ。今後、平成32年までに100件程度まで増やす予定という。

文化庁も保護一辺倒の文化財行政から転換を図ろうとしている。地域に点在する歴史的魅力や特色ある有形・無形の文化財をパッケージ化し、物語性を付加して観光資源として積極的に国内外へ発信し活用しようとしているのだ。

いにしえより神社は「鎮守の森」と称され、地域を守ってくださる村のシンボルであり街づくりの中心であった。そしてそれは地域の核であり人々の心の拠りどころ、絆となってきた。
日本各地で様々な祭りが継承されているが、我がふるさとの「国恩祭」のように、「複数の神社が地域貢献のために連合して行う祭事」というのは全国的にも極めて珍しいのではないだろうか。自治体も含めた地域の合意形成が必要であるが、日本遺産の認定に一度チャレンジしてみる価値がある。

大地震に襲われた熊本県でも1件、南部地域の10市町村による「相良700年が生んだ保守と進取の文化 ~日本でもっとも豊かな隠れ里―人吉球磨~」が認定されている。

熊本では大地震発生以来3週間が経過したものの、未だに大きな余震が断続的に続いている。まだまだ収束が近いとは言えない状況だが、活動を一時停止していたご当地人気キャラクター「くまモン」が、最近活動を再開したと報道されている。是非、地域おこしの主役として被災者のみなさんに元気を届けて欲しいと切望している。

改めて、この度の地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げるとともに、不幸にもお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。