ゴールデンウイーク2018

今年のゴールデンウィークは4月28日(土)から5月6日(日)まで。1日と2日を休めば9日間の大型連休となる。会社員へのアンケートによると、4人に1人が2日間の有給休暇を取り、また、約半数の人が旅行をすると答えている。9連休を実現されて旅行に出かけられる方々が相当数にのぼるということだ。

 

国会では森友・加計問題への政府の対応をめぐって連休前からの6野党の審議拒否が継続。与党と維新だけで審議が進んでいる。連休の谷間の5月2日には、今国会の最重要法案である「働き方改革法案」審議のため衆院厚生労働委員会がセットされたが、実質的には多くの国会議員が9連休。この時期を利用して海外に出かける議員も多い。が、私は今年も地元で開催される各種イベントへの出席と自宅での資料整理や読書で過ごしている。

 

このゴールデンウィークの直前に開催されたのが、27日の朝鮮半島南北首脳会談。このビッグイベントの成否については歴史が評価することになろうが、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長が発した板門店宣言は、休戦協定中の朝鮮戦争の終戦に向けて、さらには朝鮮半島の非核化と平和の実現に向けて、大きな可能性を感じさせる。

 

もちろんこれは長い道のりの出発点である。今後の交渉には紆余曲折もあるだろう。しかし、数週間以内に開催されるであろう米朝首脳会談を経て、朝鮮半島統合への先触れとなる大きな一歩と、肯定的に受け取るとるべきだ。
多くのメディアから、今回の朝鮮半島の動向は米朝韓中が主体で、日本は「カヤの外」との声も聞かれる。果たしてそうだろうか?私はそうは思わない。

米朝会談が成功裡に進展し、朝鮮半島の非核化が具体的に捗れば、北朝鮮の経済再生の過程で我が国の協力が議論の俎上にのぼる、必ず日本の出番がやってくる筈だ。

かの国の経済再建への喫緊の課題は食料とエネルギーである。北朝鮮は各種の経済制裁によって、自国民への食糧配給もままならず、公海上で石油製品の瀬取り(外国船籍からの積み替え)を繰り返している。

 

一方、我が国には300万トン程度の備蓄米があり、重油は北朝鮮に中国から輸出している50万トン/年の100倍以上の国家備蓄がある。このポテンシャル、隣国への経済支援力を大いに発揮すべき時だ。

 

勿論、環境が整うなら、日朝首脳会議の可能性も模索すべきである。交渉の基本スタンスは、2002年に小泉純一郎首相と金正日国防部長の間で合意された、“日朝平壌宣言”(*)の具体化である。まずは国交正常化、そして経済協力を通じて「過去の清算」を実現すると言うものだ。

 

金委員長の提案は信頼できないとの否定的な見方も多い。確かに、北朝鮮はこれまで国際社会との約束を何度も破り、国連の決定を無視した行動をとり続けてきた。しかし、過去に捉われていては未来を切り拓くことはできない。ソ連が崩壊し冷戦構造の終焉とともに世界地図が大きく変わったように、歴史の大きな転換点にあっては、それまでの常識では予測できないことが生じるものだ。

 

今回の南北首脳会談を歴史の転換点と捉え、未来志向で前向きな解決策を模索すべき。

今はそのような時であると、私は考えている。

 

 

*日朝平壌宣言:拉致問題の解決、植民地支配の過去の清算、日朝国交正常化等が盛り込まれている。

核問題に関しては、「関連するすべての国際合意の遵守を確認」し、ミサイル発射

はモラトリアムを2003年以降もさらに延長。国際的公約とされたが、06年以降のミサイル発射実験や核実験などによる経済制裁強化によって有名無実化された。