災害列島、なすべき事は。

私たちの住む日本列島は古来より、地震、津波、台風、洪水、噴火と天変地異がいつどこで発出するかわからない、別名「災害列島」とも呼ばれる。

 

地震や噴火の原因は、マントルの対流が作り出すプレート(地殻)移動だ。日本列島は4枚のプレートの衝突部に位置する不安定な構造の上にあるが故に、定期的にプレート型地震が発生し、地殻のひずみが生んだ活断層は直下型地震を引き起こす。時にはプレート境界で生成されるマグマが火山から噴出する。

 

風水害を引き起こすのは、温帯モンスーンの気候だ。毎年夏から秋にかけて台風が襲来し、初夏や秋には前線が停滞し、長雨をもたらす。地球温暖化の影響か、近年は熱帯のようなゲリラ豪雨も多発している。

気象庁のホームページには、災害をもたらした気象事例が掲載されているが、今年新たに“平成30年7月豪雨”が一覧に加わることとなってしまった。

 

同庁は7月6日以降、「数年に一度の重大な災害が予想される」「生命に重大な危険が差し迫った異常な事態にある」として、京都・広島・岡山・兵庫・岐阜・愛媛など1府10県に「大雨特別警報」を発令。8日までの2日間の雨量が123地点で観測史上最高値を記録した。

 

洪水や土砂崩れによる被害は西日本の広い範囲に広がっているが、特に広島・岡山・愛媛県では多くの死者が確認されている。行方不明者数の捜索も続いているが、被害の全容が明らかになるには、まだ時間がかかりそうだ。いずれにしても、平成に入って最悪の豪雨災害になることは間違いない。

 

事前に豪雨が予報され、発災時の被害を予測するハザードマップも整備されていた。さらには、市町村の避難勧告や避難指示も発令されていた。にもかかわらず、結果的に大きな被害が出てしまった。

予報の迅速性や危険性の周知など、行政の対応に瑕疵があったとは思えないが、たとえマニュアル通り行なわれていたとしても、多くの犠牲者が出た事実を重く受け止めなければならない。今回に限らず、避難勧告・指示が発令されても避難されない方が数多い。また、夜間の増水など、避難することが困難なケースもある。住民への情報伝達のあり方、避難誘導の手法を再検討する必要があるだろう。

 

一方で、河川改修や治山・砂防事業の成果により、災害を免れた地域も数多い。自然災害への強靭さを増すためには、計画的な公共事業は欠かせない。

それでも突然発生する豪雨には、ハード対策では手の打ちようがない場合がある。逃げるしかないのだ。そして、日本の都市の大半は、水害に脆弱な沖積平野に形成されてきたことを忘れてはならない。

 

政府は13日、この度の西日本豪雨を被災者の権利や利益を保全する“特別非常災害”に指定する方針を固めた。過去に指定された例は、阪神淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震の4件のみで、地震以外の指定は初めてとなる。

 

「善く国を治める者は、必ずまず水を治める」と言われる。

“治水“は国家にとって最大の優先的政治課題であることを改めて考えなければならない。

 

 

今回の災害により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆さまに対して

心からお見舞い申し上げます。