地域の絆

数度にわたる台風の襲来や地震、集中豪雨といった自然災害の夏、そして猛暑の夏を経て、今年もまた播州路に秋が訪れた。秋祭りは数多の障害を乗り越えて無事収穫に至った感謝と奉納、そして苦しい労働の一区切りへの喜びとして行われる。ふるさと播磨地方の秋は、鎮守のお社ごとに壮麗な神輿屋台を繰り出して、町中が老若男女を問わず大いに盛り上がる。

 

最近の秋祭りは土日に催される地域が多くなってきているが、我がふるさと曽根天満宮の秋季大祭は菅原道真公が当地に来訪された10月13、14日に行うものと決まっている。

その13、14日が今年は土曜、日曜で、しかも素晴らしい天気に恵まれた。このため両日の境内は人で溢れ、「ヨ―イヤサー」の掛け声とともに各屋台が勇壮に練り合わされ、祭りは最高潮に達した。

 

総裁選が終わり、第4次安倍改造内閣が発足して早や2週間。

総理は、東京一極集中の是正や人口、雇用減に歯止めをかけるべく5年目に入る地方創生の旗を、内閣として引き続き更に高く揚げていくと宣言した。

 

地方の活性化、地方人口増大の第一条件は、若者の地方定住である。そのために、都市から地方への移住促進が重要であることは論を俟たないが、その実現は一筋縄では行かない。第一に高卒時に大学進学のために都市圏に向かう。第二は大学卒業後に故郷へ帰ろうとしても雇用が不安定、第三には生活環境が都市に比べて見劣る。ITを活用したリモート勤務が可能となったとしても、商業や医療、教育といった生活基盤に不安が残りふるさとに帰ることをためらうことが多々あるようだ。

 

選挙区の秋祭りをハシゴ?して改めて実感したことは、「秋祭り」が“地域の絆の要”であり“ふるさと意識の原点”であるということ。私の地元である曽根天満宮も平安の頃から数百年の歴史を有する。今のような祭りの形態は氏子である住民が長年にわたり育て上げてきたもので、地域の宝であり誇りでもある。

 

私が屋台を担いでいた今から40~50年前には秋祭りも下火で、宮入りする屋台は6台しかなかった。夜になると提灯に火を灯し屋台を仄かに浮かび上がらせて先導する、今のようなイルミネーションで飾られた煌びやかさもなかった。それが現在では大人屋台が11台を数え、そのままスケールダウンした子供屋台も4台ある。

 

播州の他の地域のいろいろな秋祭りを見ても年々盛んになっているようだ。遠方に巣立った若者たちもこの季節になると、ふるさとの秋祭り参加するために帰省する。これらの秋祭りが続いていく限り、歴史や伝統が親から子、子から孫へと連綿と引き継がれ、地域の絆は守られていくことだろう。

 

地域創生のためにも、歴史あるふるさとの宝“秋祭り”を次の世代にしっかりと引き継ぎ、さらに繁栄させていきたいものだと改めて実感した、今年の秋祭りだった。