政策より政局?

先週、予算委員会の議論がスタートした。

メディア(特にTⅤ)では「政策よりも政局ばかりの国会」との報道が目につくが、果たしてそうだろうか? 私は必ずしもそうは思わない。

むしろ、メディアの報道姿勢の方が「政策より政局」に傾倒しているようにも思える。

確かに3日までの予算委員会で、自民党の質問は、「与謝野氏の大臣就任」「政治と金」「民主党の公約違反」を3点セットとしていたが、前2つ(政局問題)に費やした時間はそれ程長くない。

力点を入れているのは予算案の根拠となっているマニフェスト問題であり、予算委員会でこの問題を追及するのは当然のことだ。

しかし、2日夜のメインニュースで予算委員会の議論を取り上げていたのは一局のみで、他の局は政治のニュースすら報道されなかった。3日夜の政治ネタは、小沢問題対応の為の民主党役員会のみだった。

政治を批判するのもメディアの使命かもしれないが、政策の議論もしっかりと伝えて欲しいものだ。

ところで、これまでの国会審議を見る限り、残念ながら「税と社会保障の一体改革」に関する与野党協議への道筋は見えてこない。

政府与党は、まず社会保障費(100億)の約5割を占める年金制度について、明解な姿勢や具体案を提示すべきだ。そのためには、早急に民主党内の意見集約を図る必要がある。

自民党も「マニフェスト違反なら国民に謝罪し、改めて信を問え」と繰り返しているだけでは大人気ない。

「マニフェスト変更なら信を問うべき。」というのは確かに正論ではあるが、少なくとも来年度予算の審議が終わるまでは解散の環境は整わない。

これ以上、解散総選挙論を展開していても、解散カードは相手の手の内にあるのだから、事態は何も進展しない。

むしろ、今為すべきは、マニフェストの検証と修正を急ぐ様、強く迫ることだろう。

加えて、財政健全化責任法の成立を図り、これ以上の歳出増大に歯止めをかけるべきだ。

既に民主党の2009年マニフェストは歳入面で破綻している。

子ども手当てや高速無料化などの歳出面の政策の是非を議論するまでもなく、予算組み替えで捻出すると言っていた歳入の財源が見つかっていないのだ。

歳入を無視した歳出拡大は、当然、財政の破綻を招く。これ以上の財政赤字=借金拡大は子々孫々の負担を増大させることに他ならない。

各種世論調査を見ても、約7割の方々が民主党マニフェストの見直しを求めている。

菅総理も既にマニフェストの検証に言及しているのだから、苦しい言い訳やはぐらかしは止めて、マニフェストを一時全面凍結し、潔く良く謝罪すべきは謝罪し、その上で与野党協議を呼びかけるべきだ。

それにしても、「政治生命をかける」とまで言っていた菅総理の本気度が全く伝わって来ない。だから、謝罪や協議の呼びかけも言葉だけに見える。

「菅さんの延命工作に力を貸すつもりはない。」私の親しい野党議員の一人は、そう言い切った。

今の日本に残された時間は殆どないとのだ。

国政の現場に居られないことを、今程悔しく思うことはない。