政権末期?

17日、民主党所属衆議院議員16人が、党に席を残したまま院内会派離脱願いを提出するという理解不能な行為に出た。遂に民主党は、内部から崩壊を始めたようだ。

16人は比例代表名簿の末位掲載者で、「政権交代」の風に乗って当選してきた方々であり、現在の党勢を考えると再選の可能性はゼロに近い。「決意を固めたメンバーの表情には、悲壮感が溢れていた」というのはもっともだ。

しかし、会派離脱の大義名分が「原点回帰」、総選挙の政権公約(マニフェスト)を実現しろと言うのはいかがなものだろうか?

何度もこのコラムで言及したが、民主党マニフェストの破綻は既に明らかであり、民主党自身も党大会で見直しを決定しているのだ。

本心で、破綻マニフェストの実現を考えているのであれば、日本の財政状況を全く理解されていない、政権与党の一員として失格と言わざるを得ないだろう。

仮に、これも「菅おろしのための“方便”」ということであれば、いいかげんにして欲しい。

政策理念なき党内抗争を繰り返し、私闘を国会の場に持ち込むとは言語道断の行為である。

報道によると、民主党内には「菅総理では政権は持たない」との声が広がりつつあるということだが、ではどうするのだろうか? 総理のたらい回しをくり返していては、国民の不幸が拡大していく。益々政治不信が広がるばかりだ。

再起を期する私にとって、解散総選挙は望むところではあるが、このまま政局が混迷すれば安心社会の実現は更に遠のくのではと気がかりでならない。

日本を取り巻く環境は激変しつつある。政治家の保身のために、いつまでも政策判断を先送りしている暇はない。

先日のG20でも、リーマンショック後の世界経済の安定をめざし、様々な方針が議論された。経常収支や財政赤字の相互監視ルール策定、中東の政情不安の引き金にもなった食料価格高騰対策、国際通貨システムにおける新興国の責任拡大等々‥‥。

多極化に向けて激しく揺れ動く国際社会のなかで、我が国はどのような発展方策を選択すべきか?

中央政府が果たすべき役割は、国家ビジョンの確立だ。

国会には、一日も早く本来の機能を回復し、目先の選挙対策ではなく、未来に向けて国家のあり方を議論してもらいたい。

余談になるが、先週末私は、自民党本部の総裁室で谷垣総裁に「解散が遅れても良いから、マニフェストの見直し、社会保障についての民主党案の提案が整えば与野党協議には応じるべき」と直言した。石破政調会長にも同じ趣旨の話をした。

残念ながら、民主党内がこのような状況では、マニフェストの見直し及び社会保障改革についての民主党案の取りまとめは絶望的だ。

いつまでたっても超党派協議会は実現せず、結果、国政の最重要課題が、また先送りされてしまいそうだ。

それでも私は最後まで可能性を諦めないで、党内外の友人に働き掛けを続けてゆきたい。

それが「未来への責任」を果たす為に、今私が唯一できる事だから。