異常気象

桜の開花とともに始まった統一地方選挙が終わった。昨日投開票された地元の姫路、明石、芦屋の市長選挙ではいずれも現職がその座を維持。前半の知事、政令市長選も通じて首長選挙は(都構想の風が吹き荒れる大阪は例外として)現職優位の傾向が確立しているように思える。いずれにしても、選挙が終わればノーサイド、昨日までの敵も味方も力を結集して、ふるさとの繁栄に向けた地方創生戦略づくりに全力を尽くしていただきたい。

今回の統一地方選で特に気にかかったのは投票率の低下だ。兵庫県議選40.5%、姫路市長選47.4%など過去最低を更新するケースが続出した。半数以上が棄権する状況で民意を反映していると言えるのだろうか? 国政選挙も含めて、「選挙権の行使は民主主義の基本ルールである」と言う意識の醸成、そのためにも有権者の政治への関心を高める努力が求められている。

「低い」と言えば、この4月の日照率の低さも記録的なものだった。

3月末に一斉に開花した国会周辺の“ソメイヨシノ”は4月1日からの豪雨で一気に散らされ、8日には寒波が襲来し雪まで降った。さらに20日には羽田で瞬間風速20mという台風並みの突風が吹くなど首都の4月は荒れに荒れた。

これは東京に限った話ではなく、東日本から西日本にかけて、菜種梅雨というには少々長く、激しすぎる荒天が続いた。これに伴い4月中旬までの日照時間は平年の半分程度。上旬だけを見ると四国で24%、近畿31%、関東39%という史上初の惨状らしい。逆に降水量は東日本1.63倍、西日本1.83倍など各地で平年を上回っている。

この天候不順により、白菜の卸売価格は平年比232%、レタスは168%、きゅうりは215%といったように野菜の価格は軒並み上昇している(東京都中央卸売市場)。日照不足による生育不良が解消し、供給が回復するには、相当時間がかかる。我々の食卓の野菜不足もさることながら、生産地=農業の現場では収穫のみならず、果樹の生育、夏野菜の作付け等々への幅広い影響も懸念される。

気象庁によると4月の異常降雨の原因は、偏西風が南に蛇行したことと太平洋高気圧が例年より強かったことという。今回の状況説明は、こういうことかもしれないが、昨夏広島を襲った集中豪雨や、12月に中四国に豪雪をもたらした寒波など、この数年記録的な事象が多発している。本来温帯に属する日本列島を熱帯化と寒帯化の波が襲っているようにも思える。

異常気象は日本だけの問題ではない。アメリカ南西部の干ばつ、アメリカ北部の寒波、ヨーロッパやオーストラリア東部、インドシナ半島の大雨洪水等々、大規模自然災害が毎年どこかで発生している。このような気候変動の激化は、人為的(=炭酸ガスの増加)な地球温暖化が影響していると言う説を否定することはできない。

これまで大量の温暖化ガスを排出してきた先進国として、CO2排出量削減技術を有する国として、日本は世界に責任を果たし、貢献しなくてはならない。

昨日(26日)から訪米している安倍総理は、29日(=昭和の日)に米国議会での演説に臨む。TPPや歴史認識をめぐる発言に注目が集まっているが、演説の詳細内容は未だ定かでない。地球温暖化対策も日米が協調して対処すべき課題のひとつに取り上げられるだろうか?

一方の我が国内は先週末から実質的なゴールデンウィークに入った感がある。天候は4月前半の日照を取り戻すかのごとき晴天だ。願わくはGW期間中を通じてこの好天気が続き、観光客を招き、景気浮揚を加速してもらいたい。白亜の姫路城や淡路の花畑には青空がよく似合う。ついでに湿りがちの我が阪神タイガースの打線にも火をつけ、上位浮上への力を与えて欲しい。

 

*25日(土)昼前(日本時間午後3時過ぎにネパール中部を震源とする大地震が発生し、数多くの方々が被災され死者も3千名を超えるに至っています。お見舞い申し上げますとともに、謹んで哀悼を表します。

地方統一選挙

4月3日(金)、41の道府県議選と17の政令市議選がスタートを切った。
先に告示された10道県知事選と5政令市長選と合わせて、いずれも4月12日に地方統一選前半戦の投開票が行われる。

今、地方政治に求められていることは、まず、景気の回復、経済の好循環を全国津々浦々で実現しなければならない。次に、人口減少対策、産業育成による若者雇用の確保と医療福祉の充実による安心基盤の確立が大切になる。

これらを推し進めるのが“地方創生戦略”だ。各自治体が自らの個性を生かしながら日本一、全国初の政策を掲げ、アイデアを競ってもらいたい。

正に“地方創生元年”である今年。政策立案の担い手を定める地方選挙の重要性は、増している。だが、国民の関心は思ったほど高まっていないというのが実感だ。

その証拠には、近年の地方議会選挙の候補者数は激減している。全国的に無投票選挙区が増え、中には定数に満たない市町村議会選もある。

私の地元高砂市の県議選でも今回から定数が2名から1名に減員されたにもかかわらず、無投票となった。兵庫県議選全体では、40選挙区、87議席のうち、17選挙区18議席が無投票で埋まった。

このような候補者不足に加えて、昨年の号泣会見に端を発する地方議会への不信感の高まりも、国民の無関心を招いているのだろう。もちろん政務活動費の不正支出や過剰な旅費支給は直ちに改善すべきであり、既に兵庫県議会でも様々な改革が行われている。

「まだまだ、改善、改革が足りない」と言う声があるかもしれない。しかし、新たな制度を作り、改革を実行するのは議員自身である。まずは、選挙で、号泣するような議員を選ばないこと、潔癖で政策実現に全力で取り組む候補者に一票を投じること、投票所に足を運び有権者としての責務を果たすことが大切である。現に、住民の負託に全力で応えてくれる議員(候補者)はたくさんいる。

全国的には低調と言われる統一選のなかで、注目を集めているのが大阪の府議と市議のダブル選だ。5月17日に予定される「大阪都構想」の住民投票の前哨戦の様相を呈し、激しい戦いが繰り広げられている。

しかし、こう言った一つの争点のみ、行政の統治機構の形式をめぐる論点のみで、これから4年間の地方議員を選んで良いのだろうか?大いに疑問を感じる。しかも、前回2011年選挙では、橋下氏個人への期待が大きく膨らみ“維新”への風が吹き、候補者一人ひとりの人物像がよく見えなかった感もある。(某号泣議員も「西宮維新の会」を名乗ったことが当選に繋がったことは否定できない)

今回の大阪府議、市議選挙は、大阪都構想の可否のみを定める選挙ではない。大阪の有権者の方々には、冷静な目線で各候補者の政策と人格を見極めていただきたい。

投票日前の9日には平成27年度予算も成立し、ようやくながら27年度事業の実施準備が整う。そして、いよいよ安全保障、エネルギー・温暖化対策など、長期的な政策課題に関する議論が本格化する。

後半国会を優位に進めるためにも、この統一地方選にまず勝利することが求められている。