憲法改正

新しい年が明けて早や半月が経った。今年の通常国会は、7月に行われる参院選の関係もあり、三が日明けの4日に召集され、早くも論戦たけなわである。

過去、阪神・淡路大震災のさらに1年前、平成6年にも正月はじめに国会のための上京を求められたことがあった。当時は細川内閣の時代、政治改革法案の早期成立に向け、前年から年末年始をまたいで臨時国会が開催されていた。通常国会の召集時期としては、今年が最速だ。

 

8日から27年度補正予算案を審議する予算委員会がスタート。14日には衆議院で可決され、参議院に送付された。

この間、平成29年4月の消費増税時に導入する軽減税率対品目や所得の低い高齢者への臨時給付金、TPP関連の農業を中心とした国内対策費など、主に経済政策を巡った議論がおこなわれたが、私が注目した質疑に、国会における政府答弁についての憲法解釈を巡るやりとりがあった。

 

憲法第63条には、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないにかかわらず、何時でも議案について発言するために議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」と記されている。

 

民主党の階 猛議員はこの条文の後半部分の字句表現だけに着目し「国会に出席している理由は答弁または説明のためであって、我々(質問者)に対して批判するためではない」と解釈すべきで、安倍総理が(野党の質問者にたいして)反論するのはおかしいと主張した。同じようなことが昨年の安保法制特別委員会でもあった。質問に立った辻元清美議員は首相から発せられたヤジに、質問を遮ったり首相自身に答弁させろといった“答弁権は無い“と、自身のブログで断じている。果たして妥当な解釈と言えるのだろうか?憲法は政府側の反論を認めていないのだろうか?

 

私は総理が答弁した「国会の場で闊達な議論があるのは当然。もちろん答弁が中心だが、その中で事実を比較する場合もあるから、(中略)我々に反論したり批判したりすることは絶対だめだと言うことは、おかしのではないか」という解釈論に賛同する。

 

各種委員会での法案審議過程には多くの時間が割かれるのだが、答弁者が受け身の説明、答弁に終始しているだけでは、法案がめざす政策実現への理解は深まらず、実りある成果は望めない。国民が政策についての賛否を考える上での判断材料としても、不十分な情報提供にとどまってしまう。

 

議会制度の発祥国であるイギリスは、自由にして闊達な討論をおこなう議会風土がある。時折クエスチョンタイムの状況がTVに映し出されるが、そこでは現実の数字まで突っ込んだシビアな議論が展開されている。

 

これに倣って、両院に設けたのが「国家基本政策委員会」。いわゆる“党首討論”と呼ばれるもので、個別の法案についてではなく国の基本政策に関して議論を戦わせるものだ。が、残念ながら討議時間は、予算委員会等に比べれば、ほんのわずかである。

 

国会審議の活性化や充実を図るためにも、議論のあり方を再検討する必要があるのではないだろうか。

夏におこなわれる参院選を睨み憲法改正論議が浮上してきているが、我が憲法の弱点の一つは、英文で作製された原案を日本語に翻訳されたという点であろう。故に字面だけをなぞり、法の目的を見誤った強引な解釈論がなされる余地がある。今回の質疑のような法匪(※)のごとき解釈論を防ぐためにも憲法改正が必要なのではないだろうか。

 

※法匪(ほうひ):法律のうわべを絶対視して人に害を及ぼす、まさに賊徒(=匪)と評するべき役人や法律家。

年頭のご挨拶(平成28年)

新年あけましておめでとうございます。

昨年は、我が国を取り巻く安全保障の激変に対して、日米による“希望の同盟”強化や安保法制を巡る外交防衛問題、またTPPに象徴される通商貿易問題など、1年を通じて喧しい年でした。

さて、政権復帰してから早や3年が経過しました。

「もはや戦後ではない」と経済白書で高らかに宣言されたのは、60年前の昭和31年です。TV、冷蔵庫、洗濯機などの耐久消費財の一大消費ブームが興り、神武景気と称され日本経済は再生しました。

長期のデフレにより沈滞していた我が国経済は、アベノミクス三本の矢で解消に向かいつつあります。しかし、経済の好循環は列島全体に未だ浸透しておりません。

我が国の経済再生をより確かなものとし、長期にわたって成長させるために、新たな三本の矢“5年後GDP六百兆円、希望出生率1.8、介護離 職ゼロ”が掲げられ,国民一人ひとりが総活躍する経済社会システムの構 築が提案されました。経済界においても、3年連続のベースアップや設備 投資の増額など、積極果敢な経営に舵が切られようとしています。

社会全体としては失業率、倒産件数などが年ごとに低下し、若者の正社員が増えるなど、60年前と同じように経済再生の予兆が感じられます。

昨年私は、超党派による“播磨臨海地域道路整備促進国会議員連盟”の会長に就任しました。一日も早く、ふるさと東播磨の幹線ネットワークが整備されるよう、また地域の諸課題解決に向け全力で取り組んで参ります。

夏に参院選がありますが、活力ある我が国の未来を確実なものにするためにも、政権与党に引き続きご理解とご支持を賜りたく存じます。

今年も格別のご指導とご鞭撻をお願いいたします。