2019、今年もあと僅か

京都・清水寺の森 清範貫主が揮毫した、世相を漢字一字で表す「今年の漢字」は“令“。2位以下に大差をつけての圧倒的な1位であった。

新元号「令和」に新たな次代の希望を感じた一年ということなのか、“令”という漢字が持つ意味に明るい時代を願う国民の思いが集約された結果なのだろう。

 

2位は“新“。理由には「新」元号、「新」しい時代やオリンピックに伴う「新」国立競技場の完成など、様々な分野で「新」制度が導入され「新」たな時代の到来を感じられたことによるものと分析されている。

3位から10位までは「和」、「変」、「災」、「嵐」、「水」、「風」、「天」、「税」の順となっている。「災」「嵐」「水」「風」などの一文字漢字は、多くの自然災害に見舞われた一年を象徴するものであろう。

 

同じく年末の風物詩として話題になるのは、“新語・流行語大賞”だ。今年のトップ10は、次のとおり。

計画運休、軽減税率、スマイリングシンデレラ、タピる、#KuToo、○○ペイ、免許返納、闇営業、令和、ONE TEAM。この中にも令和があるし、軽減税率、○○ペイなどは新制度によるもの、計画運休は災害に関係するなど、一文字漢字との共通点も多いようだ。

 

そんな今年の流行語大賞となったのは“ONE TEAM”。確かに今年最も輝いていた出来事はラグビー日本代表(ブレイブ・ブロッサムズ)の活躍だ。

流行語大賞にノミネートされたベスト30にも「ジャッカル」「にわかファン」「4年に一度じゃない、一生に一度だ」「笑わない男」など、大賞とあわせて五つも入っている。

桜のジャージをまとった勇士たちはワールドカップが終わってからも、テレビ番組に引っ張りだこだ。どうやら紅白歌合戦にも特別ゲストとして出演するらしい。

過酷な練習の日々に耐え、国民を熱狂の渦に巻き込み大きな感動を届けた選手たちは、間違いなく今年のヒーローだろう。

 

年が明ければ2020年はオリンピックイヤー、世界中のアスリートが日本に結集する。その中で日本の選手たちがどんな感動を届けてくれるのか、桜の勇士に負けない活躍を期待しているのは私だけではないだろう。

 

世界に目を転じると、2019年という年は世界各地で抗議デモや集会が相次ぎ、社会の不安定化が広がった一年だったと思う。

中でも私が注目しているのは、民主化を求める香港の学生たちと、気候変動の阻止を訴えて立ちあがった世界中の若者たちだ。前者は民主主義を守ろうというもの、後者は地球を守ろうというもの。目的や手段は違っていても、この2つのデモの共通点は未来を担う若い世代が活動の中心であるということだ。

社会の現状に対して危機感を共有した彼らから、目の前の利害に囚われ未来への責任を果たそうとしない政治家、大人たちへの警告と受け止めなければならない。そう考えると、日本の若者たちの現状肯定的な傾向が些か気になるこの頃である。

 

そんなことをあれこれと考えているうちに時は過ぎ、令和元年もあと僅かで終わる。

今年もまた「科学技術・イノベーション」「人材育成(教育)」に注力した一年だった。その一つの成果として、先日決定された経済対策で、令和5年度までに小中学生に1人1台のパソコンやタブレットの配備を目指す“GIGAスクール”が実現する運びとなった。

振り返れば様々な思いが脳裏をかすめる一年だったが、最後に大きな成果を上げることができ、満足感をもって今年も幕を下ろせそうだ。

 

この一年間、何かとお世話になり本当にありがとうございました。来年も引き続きのご支援ご指導を、よろしくお願い致します。

来るべき年が皆様にとって輝かしい年でありますように祈念いたします。

新しい経済対策(15カ月予算)

5日夕、政府は事業規模が総額26兆円程度となる、3つの柱で構成された新たな経済対策を閣議決定した。3年前の28兆円に匹敵する規模になる。

 

①   一連の災害からの復旧・復興と安全・安心を確保するためのインフラ整備。

河川の堤防強化やハザードマップの作製、被災した人々の生活再建のための方策など、ハード・ソフトの両面で対応策。

 

②   経済の下振れリスクへの備え。

米中貿易紛争など海外景気の減速懸念への配慮。デジタル化など生産性向上に向けた中小企業や小規模事業者を対象としたキメ細かな施策。

 

③   東京オリンピック・パラリンピック後を見据えた景気の持続、活性化策。

デジタル化時代に対応する人材育成のために、2013年度までに全ての小中学生に1人1台のパソコンやタブレットを配備。高速・大容量通信規格、 “ポスト5G”の開発支援や、若手研究者の長期支援する基金の創設。米国の月探査計画への参画や次世代スパコン“富岳”の開発の促進。

など、これら3つの柱には、200を超える施策が盛り込まれている。

 

経済対策は、2019年度補正予算と2020年度当初予算の15カ月予算として編成される。

政府与党からは「赤字国債の発行もやむを得ない、大型の経済対策を」と声高に叫ばれたが、巨額の財政赤字を抱える国家財政のもと、補正の規模をめぐって政府与党と財務省のせめぎ合いの中、最終的に赤字国債を税収減の範囲に留めるなど、省をあげて財政規律を守ろうとした。正にワンチームの対応。要求側であった私ではあるが、心から敬意を表したい。

 

“2013年の骨太方針”に盛り込んで以来の懸案事項だった学校のICT化は、デジタル時代を担う人材を育成する“未来への投資”として位置づけられた。

一人ひとりが専用の端末を持つほかに、学校の各教室に高速大容量の通信ネットワーク環境(校内LAN)を整備する。国として事業を実施する地方公共団体に対して4年にわたり継続的に財源を確保する。あわせて教育人材の確保や教育内容といったソフト面でも支援していく。大満足とまではいかなかったが、何とか道筋をつけられた思う。しかし問題はこれからだ。

 

政府は文科省を中心に「GIGAスクール実現推進本部」の設置を予定している。

学校のICT化とインターネット接続事業者を活用して、先端技術・教育ビッグデータとの融合により、誰一人取り残さない教育、特異な力をもつすべての子供に公正にチャンスを提供する教育を確立していく構想で、推進本部は関係省庁が参加した政府を挙げての強力な布陣を敷かなければならない。

 

先般、OECD(経済協力開発機構)が発表した2018年の学習到達度調査(PISA)の結果では、日本の15歳の「読解力」は前回調査の8位から大きく後退して15位。

調査と同時に実施したアンケートでは、日本の生徒は1週間の授業で「デジタル機器を使用しない」と答えたのは、国語83%、数学89%、理科が75.9%だった。利用率はOECD

加盟国中最下位だった。

 

文科省は、生徒がデジタル機器の操作に慣れていないことが影響した可能性があると指摘しているが、読解力低下の原因の一つがIT環境の未整備にあるとの分析もある。日本の子供たちに一日も早くタブレットを届けたいと思う。

今年の流行語大賞は“ワンチーム”。年末の「ゆく年」の話題NO1は、「サクラジャパン」で決まり!

桜は日本の春爛漫を彩るが、永田町では秋から冬にかけても季節外れのサクラがいまだに満開だ。政府の説明責任が充分果たされているとは言えないと私も思う。しかし、年末恒例の地元の忘年会に参加すると、「いつまでやってんだ!真面目に政策の議論をしろ」との声も多くなってきている。そろそろ国民もうんざりしているのでは?

来る年、2020年は政策議論が盛んな国会になって欲しいものだと心から願っている。

 

 

 

*GIGA=Global and Innovation Gateway for ALL の略。