ONE TEAM で闘う

昨年暮れから湖北省武漢で発生した新型コロナウイルス、中国保健当局等は11日、国内感染者数が4万人を超え、死亡者数は2002年に中国南部で猛威を振るったSARS(重症急性呼吸器症候群)774人を抜いて1,000人以上を数えたと発表した。

 

6日の湖北省幹部会見では、全土から1万人以上の医師が支援に駆けつけている一方、呼吸器内科や重症患者の対応にあたる医療従事者が2,000人以上不足していることも明らかにした。加えて重体になっている人が6,000人以上いるとの情報もある。中国以外で感染が確認された国と地域は27にのぼり、わが国でも28名の感染(12日現在、クルーズ船の感染者を除く)が判明している。

 

昨年11月には武漢市内で原因不明のウイルス性肺炎が発生したことは報告されていたものの、中国当局の公表は12月30日。大晦日の日本での報道もベタ記事扱いだった。いち早く警鐘を鳴らした眼科医の李文亮医師は、不幸にも8日に感染死亡が公表された。また、武漢で重篤であった邦人一人が亡くなったとのこと、ご冥福をお祈り致したい。

 

当初は「ヒトからヒトへの感染はない!」と報じられ、WTOも初期には安心・安全宣言を発していた。状況が一変したのは1月24日から始まる旧正月・春節(24日~30日)前日23日に、武漢市と近隣市が封鎖されてからだ。

武漢市は中国のほぼ中央に位置し人口約1,100万人を擁する。160社を超える日本企業が進出し、700人近い邦人が居住していた。25日には周仙旺武漢市長が「春節と肺炎流行の影響により500万人が武漢を去り900万人が残っている。すぐに情報発信ができなかったのは、発表の権限がない」と市内の惨状とあわせて心情を訴えた。

 

感染患者が首都北京でも確認され、2月に入って感染者が5日連続で3,000人を超えるなど、ほぼ中国全土で感染者数が急増していった。

2月3日、中国最高指導部は「新型肺炎に関する会議を開き、感染症対応に誤りがあり初動対応が遅れたこと」を認める異例の声明を出した。しかしながら新型肺炎が発症してから既に2カ月が経過している。初期段階での情報統制がこの状況を招来したことは明らかで、中国当局は18年前のSARSパンデミック(集団感染)から何も学んでいないことになる。

 

わが国では武漢に居住している邦人救出が喫緊の課題となった。政府は4次にわたりチャーター便を手配し、湖北省に滞在する大部分の邦人帰国(763人)を実現した。立上げ時はいささか時間を要したが、諸外国に比してスピーディで適切な対応だった。

 

また、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客乗員約3,700人の船内感染が明らかになった。様々な意見があるが、横浜港に停泊させ客室待機などを含め水際対策としてまずはこの方法しかなかったと思う。

 

厚生労働省は12日、新たに乗客39人と検疫官1人の感染が確認されたと発表、これでクルーズ船内での感染が確認されたのは175人となった。11日午前から、感染が確認された乗客などを救急車で順次医療機関に搬送しているが、時間の経過とともに乗船者の不安やストレスも高まっており、新たな対応が求められる局面に入った。

 

自民党では新型コロナウイルスの感染拡大を受け対策本部を設置。政府からの報告を受けるとともに、連日議論を重ねて提言をまとめ安倍総理に手渡した。その内容は、水際対策の徹底、医療体制の整備、簡易検査キットの開発を含む検査体制の整備、大打撃を受けている観光業等への資金繰り対策など10項目に及ぶ。また、友党である公明党も、政府に国民や地方自治体に迅速な情報提供や相談窓口の体制拡充などを総理に提言した。

 

これらを受けて安倍総理は、「政府として、国民の命や健康を守ることを最優先に、やるべきことをやらなければならない。予備費の活用も視野に必要な対策を行っていきたい」と、万全の対策を期す考えを強調し、政府として週明けにも緊急対策をまとめる考えを示した。

 

日本国内は言うまでもなく、全世界が情報を共有してコロナウイルスと闘わなければならない。様々な対立を乗り越え人類が「ONE TEAM」とならなければならない。今はそんな時だと私は思う。