論戦?

2月14日、緊急経済対策を盛り込んだ総額約13兆1000億円の平成24年度第2次補正予算案が衆院本会議で可決され、参院に送られた。予算は衆院の議決が優越するため、参院で否決されても成立はする。しかし、一刻も早く成立させ、執行に移すことが国会の任務だろう。衆参の権限が等しいため、国会同意人事をめぐり民主党の一部からまたしても反対のための反対をするような声が聞こえてくるが、野党の諸君にも国家利益を重んじた真摯な審議姿勢を求めたいものだ。

そんななかで、今回の補正予算採決で自民、公明両党に加えて日本維新の会が賛成に回った。安倍政権にとっては、政権運営の選択肢が広がったのではないだろうか。

6日から開かれた予算委員会は、安倍政権発足後初めての本格的な与野党の論戦だった。
2日間の総括質疑に加えて安倍政権の政治姿勢を質す集中審議が1日と、いずれもNHKテレビで全国放映。日頃、露出の少ない野党にとっては国民にアピールし、存在感を示す絶好の機会であったのだが…。予算委員の一人として3日間ほとんど席を離れることなく生の論戦を聴いていたが、極めて盛り上がりに欠けたと言うのが率直な印象だ。

まず、前原誠司、原口一博、長妻昭、辻元清美氏など、知名度の高い論客(?)を揃えてきた野党第一党の民主党だが、質問も質問者もとにかく元気がない。与党ボケとの評価もあるが、3年3ヶ月に及ぶ政権運営の後の総選挙で歴史的な大敗を受け、党が存続する可否すら話題になっている現状を考えると、「無理もない」と、分かるような気もする。

次に、予算案で賛成に回った日本維新の会。
“首長タイム”と銘打って中田宏・前横浜市長、山田宏・前杉並区長、そして真打登場は石原慎太郎・前東京都知事。「浦島太郎のように18年ぶりに国会に戻ってきた暴走老人です」と自己紹介した後、憲法改正などについてとうとうと持論を展開するばかりでほとんど質問することなく、論戦にはなっていない。
首長タイムに触発されたわけではないだろうが、民主党の2巡目はサバイバータイムと称して、政権交代選挙で当選した143人の新人議員から、今回再選を果たした5人の中の2人が質疑に立った。なにか茶番のように思えた。

予算委員会と言えば、各党のエース級の論客が火花を散らした花形委員会である。
そこでの論戦は、我が国の行く末が委ねられていると言っても過言ではなかった。国民の注目度は極めて高い。だからこそ、政治家はマスメディア、特にテレビ画面を通して国民に政策や心情をもっともっとアピールしなければならないと思うのだが、今回の予算委員会は国民の目にはどのように映ったことであろうか。

ライバルは切磋琢磨しながらお互いに技量を磨き、それぞれが向上していく。つまり、野党第一党の民主党が頑張らないと、自民党にとっても決してよい影響をあたえないし、延いては我が国の政界が活性化されないと思う。今週は野党が過半数を占める参議院での論戦が始まる。国民の注目が集まるような活発な議論が展開されることを期待したい。