STAP検証

前号に引き続き、STAPと理研の話題を続けたい。
先月27日の改革行動計画の発表に引き続き、理研はSTAP細胞の存在の有無を確かめる検証実験の中間報告を行った。
内容は、「これまで4ヶ月、のべ22回の実験ではSTAP細胞は一度も作製できていない」というもの。ただし、まだ実験の途中段階であり、STAP細胞の存在の可能性について判断するのは尚早ということだ。

この検証実験に対しては、「論文撤回で白紙に戻った研究成果の検証を不正に関わった機関が自ら行うことは疑問、これ以上続けるのは税金の無駄遣い」といった批判の声もあがっているが、私はそうは考えない。

小保方氏の肩を持つつもりはさらさらないが、半年余り前、世界中の生命科学者や再生医学者がSTAP細胞の発見に沸き上がったのは、「どんな細胞でも一定の刺激を加えることにより、万能細胞に生まれ変わる」という仮説が魅力的であり、実現可能性が認められたからではないだろうか。残念ながら、論文撤回により、その科学的根拠は宙に浮いた形となっている。

しかし、だからといって、STAP細胞の不存在が立証された訳でもない。
現状は「仮説は立てたが、実験データによる立証が未完成な段階に戻った」と言うことだ。国民の最大の関心は「STAP細胞はあるのか?ないのか?」という疑問にある。現時点でその疑問に応えられているとは言えない。

この疑問に明確な回答(願わくは存在の確認)を示すことこそが、騒動を引き起こした張本人である理研の責務と言えるのではないだろうか。
仮に存在を立証しようとすれば、まず、①弱酸性液の刺激による細胞のリセット(幹細胞化=STAP現象)を確認し、次に②その幹細胞の培養による万能性(全ての体細胞への変化)の証明、という二段階の立証手続きが必要となる。
漫然と実験を続けないように、研究期限を切る必要はあるだろう。成果を急ぐためには、小保方氏が自ら実施中の検証実験も加速する必要がある。

とにかく、一日も早く白黒をつけ、国民の疑問を解消することが理研改革の第一歩となるだろう。
野依理事長のリーダーシップの下、リニューアルした理化学研究所が、その若き研究員とともに世界最高レベルの研究機関として発展を続けることを期待したい。

「社会とともにある理研に改革したい」という野依理事長の言葉を、改めて私は支持したい。