国民の声は。

 国民の審判が下った。民主党 44議席、国民新党 0議席、与党は参議院で過半数割れとなった。衆議院でも3分の2を押さえているわけではないから、法案の再議決権も行使できない。これで民主党政権の暴走はストップできる。完全な衆参ねじれ状態の出現だ。

 ここで、自民党がかつての民主党のような理不尽な戦術(=与党案へのなりふり構わぬ反対)をとれば、すべての法案審議はストップし、民主党政権を窮地に追い込むことができるのかもしれない。しかし、それが日本の政治としてふさわしい姿なのか?それが国民の利益になるのだろうか?

 政治家の第一の責務は、政権を取ることではない。国民のために政策を議論し、実現することだ。政権獲得はそのための手段にすぎない。(ところが、ここ数年の政治は、政争に明け暮れ、まともな政策は実現していない。急激な少子高齢化による社会保障の危機が唱えられたのは、1980年代。財政の持続可能性が問題視され始めたのは1990年代。しかし、何の策も実現できないまま、20年がむなしく過ぎ去っている。策を講じても、国民が痛みの声を発すると、諭して継続する努力をせず、即時撤退する愚を何度も繰り返している。これでは改革はできない…)ねじれ国会であっても、しっかりと政策を議論し、成立させるべき法案は成立させる仕組みを確立しなくてはならない。それが政治の責任だ。さもなければ、二院制のあり方を根底から議論すべきだ。

 菅総理は、選挙に先立ち、消費税率引き上げをはじめ財政健全化のあり方を議論する与野党協議会の設置を呼びかけた。もちろん今回の選挙直前の唐突な呼びかけは、野党にも消費税引き上げの責任を負わせようという作戦だろうが、動機はどうであれ、この種の協議会はぜひ実現して欲しい。

 社会保障や外交方針など政権が交代しても継続性が重要な政策は多々ある。もちろん財政や経済政策は、小さな政府をめざすか、大きな政府をめざすか、によって大きく異なるだろう。しかし、国民生活や我が国の安全を左右する基本政策は簡単に変えてはならない。ゆえに、与野党が共同して、共有すべき政策を協議する場が必要なのである。

 そのなかで、議論すべき最優先課題は、まず社会保障のあるべき姿だ。50兆円に迫る年金、30兆円台半ばの医療保険、10兆円が見えてきた介護保険。(加えて5兆円の子ども手当て?)これらの支出にどう対処すべきか。つまり、給付を削るのか、保険料を上げるのか、増税により税を投入するのか。まず、それを議論し、設計図を示すことが必要だ。税制の議論はその後で良い。

 しかし、この結論は半ば見えている。(平成10年から始まった社会福祉基礎構造改革の議論で増税と保険料引き上げは必然となっている)毎年、1兆円ずつ拡大する財政負担を眼前にして、悠長に将来像を議論する暇はないとも言える。まず、当面の措置として、3%程度の消費税引き上げが必要という「たちあがれ日本」の主張は、この点で妥当だ。

 もちろん、より一層の歳出削減は断行しなければならない。だが、公共事業への政府支出をゼロにしても、6兆円しか浮かない。防衛費をゼロにしても5兆円。教育費をゼロにしても5兆円だ。これに対して現在の社会保障の政府支出は既に27兆円で、これから毎年1兆円ずつ増えていく。

 競争を基調とする経済成長を優先する「みんなの党」の主張も、ある意味で理解できる。経済が拡大すれば自ずと税収も拡大するだろう。しかし、それは不確実で格差拡大を伴う、さらに、実現しても数年先の話だ。加えて持続可能な社会保障の安定には安定財源が必要である。今は、続々と定年退職を迎える団魂の世代が社会のお荷物にならないように早急に議論を始めなければならない。

 各党は早急に議論のテーブルに着くべきだ。戦いは終わったのだから‥‥

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