憲法記念日

今年のゴールデンウイークは4月29日(土)から5月7日(日)まで。1日と2日を休めば、9日間の大型連休となる。ただ、報道によると今年の傾向は「安・近・短」と家でゆっくりと、近場で過ごす人が多いとのことである。

 

失言による今村雅弘復興大臣の辞任問題等で審議がストップしていた国会。野党は審議入りの条件として予算委員会の開催を要求した。衆参で1日と2日の開催提案(?)もあったらしいが、結局連休明けに開催することになり実質的に国会も9連休に入った。

 

毎年この連休を利用して海外に出かける議員も多いのだが、今年は朝鮮半島情勢の緊迫化もあり、外遊を取りやめた議員は2桁に及んだらしい。特に衆院小選挙区で敗れ比例復活した議員や、選挙基盤の固まっていない若手議員、7月に都議選を控える東京都選出議員に対して、「それぞれの地元でしっかり活動するように」との外遊禁止の幹事長通達が出された。

私の連休の大半は、地元で開催されるスポーツイベントやお祭りなどへの出席に費やされ、それ以外の時間は、自宅で資料整理や読書で過ごすことになる。

 

その中日となる5月3日は憲法記念日。今年は昭和22年(1947年)に現行憲法が施行されてから70周年の節目の年となる。施行以来今日に至るまで憲法改正の議論は幾度となく行われてきたが、発議の段階で両院2/3以上の議員の賛同が求められるという、ハードルの高さから、具体の改正案は提示されることさえなかった。「日本国憲法」は、改正された経歴のない現行憲法という意味で世界最古であるという。

 

護憲派の方は「素晴らしい」と言われるが、果たしてそうだろうか? 制定時と現在とでは世界情勢も、我が国を取り巻く近隣情勢も大きく変化している。

戦後間もない昭和20年代は勝者である連合国の共和の時代であり、国家間の紛争、安全保障を巡る問題は存在しなかった。その後、米ソの冷戦時代を経て、社会主義国の崩壊に至ったのが30年前。東西のイデオロギー対立は無くなった。一方で、快適さを求めるための「環境権」など、70年前は存在すらしなかった新しい権利意識念も出てきている。

 

世界の国々は時代の要請に応じて憲法を改正してきている。フランスは27回、ドイツに至っては60回を数える。憲法と言っても法律の一種、決して不磨の大典、金科玉条ではない。我が国でも時代の流れに柔軟に対応し、憲法改正の議論を進めなければならない。ところが、衆参の憲法審査会の現状を見ると、一応の議論は行われてはいるものの、政党の思惑が複雑に絡み合い、合意形成には程遠いのが現状だ。

 

改正すべき項目を例示すれば、「自衛隊の位置づけ」「環境権などの新しい権利」「緊急事態条項」「統治機構の在り方」「憲法改正の発議要件の緩和」など。加えて、「財政規律の確立」を明記することも重要だと考えている。

 

現行憲法が、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の堅持により、我が国の平和と繁栄の礎となったことは率直に評価すべきである。しかし、先に示した種々の項目等について国民はどう考えているのか?最近の世論調査では改正賛成の意見が若干ながら反対を上回っている。

 

言うまでもないが、現行憲法が憲法改正手続きにおいて“国会”に期待するのは、「改正案の発議」である。改正の是非は最終的に国民投票によって決定される。国会が改正案を発議できず国民に投票の機会が生まれないとしたら、それは憲法に対する国民の意思表明の権利を国会が奪っていると言っても過言ではない。

 

繰り返すが、憲法改正の是非は国会のみが決める事柄ではない。国民投票により、国民の直接の声を聴き、そして憲法改正案について賛同を得た時、改正が実現に至る。

これが、自民党立党時の綱領にある「自主憲法制定」への道筋であり、党是でもあるのだ。

 

 

 

*不磨の大典:すり減らないで、長く価値を保つこと。転じて、長期間改定されていない重要な法案や規則のことをいう。