国民の声は?

7日から始まった自民党総裁選は、直前に発生した北海道胆振地震の被災地に配慮して安倍晋三、石破茂両陣営とも3日間運動を自粛。実質的に選挙戦がスタートしたのは、10日に党本部ホールで行われた所見発表演説会と共同記者会見からとなった。

 

安倍候補は、政権奪還後に自身が取り組んだ“アベノミクス”の成果を強調し、その継続性とともに、昨年の総選挙で掲げた政策の完遂に全力を尽くすと訴えた。また外交・安全保障政策では拉致問題解決への強い決意を表明するとともに、憲法改正については自衛隊の明記を改めて呼び掛けた。

 

一方、石破候補は“経済再生”と“社会保障改革”を成し遂げると訴えた。経済再生については、地方創生が核になり、地方の成長力を引き出すための司令塔を政府内に設置するとし、すべての人が安心して暮らせる社会保障づくりにも強い意欲を示した。また、大規模自然災害に対して平時から万全の対策を講じるための「防災省」の設置も提案した。

 

ただこの会見の直後、安倍総理は東方経済フォーラム出席のためウラジオストックに向け出発。両候補による本格的な論戦再開は、総理帰国後の14日に行われた日本記者クラブ主催の討論会と自民党青年局・女性局主催の公開討論会を待つことになった。

 

結局、総裁選恒例の地方演説会は15日以降となり、しかも京都市(近畿ブロック)、佐賀市(九州ブロック)、津市(東海ブロック)、仙台市(東北ブロック)の4カ所のみとなった。

前回の総裁選では全国17カ所、前々回は18カ所で候補者が街頭に立った。今回の4カ所のみというのは極めて少ない。当初8日に予定されていた東京での演説会も最終的に見送られ、過去に例を見ない論戦の少ない総裁選となった。

 

既にこのコラムでも言及したように、私は石破候補を支援し推薦人にも名を連ねている。石破陣営は首都圏での合同演説会が中止されたため、連休最後の祝日となった17日(月)に銀座三越前で単独の街頭演説会を執り行った。中央通りが歩行者天国となる休日の銀座で、多くの方々が石破候補の訴えに足を止め、耳を傾けていただけた。

 

自民党の総裁選は日本国の総理に直結する選挙である。総裁選を通じて多くの国民に直接訴えることは、政治への関心を高める上で大いに意味がある。国政選挙における政権公約と同じく、総裁選での主張は選挙後の政権運営に直結するものであり、各候補の訴えは我が国の将来を左右する、すなわち国民生活に大きな影響を与えるものである。

 

総裁選を揶揄して、「永田町の論理」とか「コップの中の嵐」とか言われることがある。もちろん、総裁選の投票権は党所属国会議員と党員にしかない。国会議員票は確かに「永田町の論理」で決するのかもしれない。しかし、党員票に国民の声がより反映されると言っても良いのではないだろうか。

 

私は平成26年に党・政治制度改革実行本部長として総裁公選規程を改定し、国会議員票と地方の党員票を同数にした。この改革には総裁選に国民の声がより反映されるようにという、願いが込められている。

だからこそ総裁選では、広く国民に呼びかける機会を十分に確保する必要があると考えていた。今回の街頭演説会の減少は非常に残念だが、数少ない機会を利用した両候補の訴えが、しっかりと国民に届き、政治不信の解消に繋がることを心から期待している。

 

いづれにしても結果は明日、判明する。