象徴天皇制

御代替りで10連休となった今年のゴールデンウィーク。
4月30日の「退位礼正殿の儀」で平成が静かに幕を閉じ、つづく5月1日、古式にのっとった「剣璽等承継の儀」により、徳仁皇太子殿下が第126代天皇に即位され令和が始まった。新天皇はその後「即位後朝見の儀」に臨まれ、即位後初めて三権の長ら国民の代表を前にお言葉を述べられた。

4日には皇居一般参賀が執り行われた。全国的に晴天に恵まれたこの日の日本列島、東京では日中25℃を超える夏日となったが、14万人以上の国民が参賀に訪れ、皇居周辺は祝賀のムードにあふれた。
9日の衆院本会議でも、即位に際し「天皇皇后両陛下のいよいよのご清祥と令和の御代の末永き弥栄(いやさか)」を祈念する内容の賀詞奉呈を、全会一致で議決した。

今回の一般参賀で私が最も注目したのは、若い世代の参列者が目立ったことだ。皇室への崇敬の念は年配者に多いものと思っていたが、必ずしもそうではないようである。
ある報道によると、先帝が即位された1989年の世論調査では、「皇室に親しみを持っている」とする回答は54%だったが、直近の調査では76%なっている。

上皇上皇后両陛下の平成の御代30年間にわたり国民に寄り添った活動や、いかなる時も国民と苦楽を共にされたお姿が、親しみを以って広く国民に届いた結果だと思う。
新天皇皇后両陛下がこの道を引き継ぎ、令和流の皇室像、新しい時代の象徴像を国民とともに作り上げられることが期待される。

その一方で、皇室は「皇族数が減少するなかで、いかにしてご公務の質と量を維持し、また、安定した皇位の継承を実現していくか」という大きな課題に直面している。

今回の皇位継承は、平成29年に成立した“陛下一代限りの退位を容認する”特例法によるもので、終身在位を定めた明治以降では初めて。約200年ぶりのご退位が実現した。
この結果、現時点で皇位継承権のある皇族は、53歳の秋篠宮さま、12歳の悠仁さま、83歳の常陸宮さまの3名である。未婚の女性皇族は6名いらっしゃるが、現行ルールではご結婚とともに皇族の身分を離れられることとなる。

今上陛下と皇位継承1位の「皇嗣」秋篠宮さまとの年齢差はわずか5歳。今回同様、陛下がご高齢で退位される事態が生じた場合、秋篠宮さまもすでにご高齢になっておられる。
皇室典範による男系男子による継承を貫こうとすれば、継承2位の悠仁さま、そしてそのお妃さまのご負担は非常に重くなるだろう。

今回の特例法を審議した衆参両院は、一連の皇位継承の儀式終了後に、安定的な皇位継承確保の在り方や皇族数の減少への対応について、政府に対して速やかな検討を求める付帯決議を行っている。
日本国民に浸透し、幅広く受け入れられている“象徴天皇制”を、より安定的に確固たるものにするためにも、国民的な議論を進めることは避けられない政治課題である。