おかえりなさい

6日未明、オーストラリアの空に火球が流れた。報道でご承知のとおり、小惑星探査機「はやぶさ2」から放出されたカプセルである。数々のトラブルに襲われた初号機の旅と異なり、比較的平穏な6年間、50億キロの宇宙旅行だったが、金属弾による人工クレータの作成、誤差60センチという高精度着陸誘導など、我が国の宇宙開発力を世界に示してくれた。

明日(8日)にも日本に持ち帰られるカプセルには、小惑星「りゅうぐう」から持ち帰った岩石、砂が格納されているはずだ。このサンプルは太陽系の成り立ちを調べる材料となり、生命の起源である水や有機物の成分が含有される可能性もある。分析には播磨科学公園都市のSpring-8やSACLAが力を発揮してくれる。

「はやぶさ2」の使命は、これで終わった訳ではない。カプセル分離直後から、すでに新たなミッションが始まっている。水が豊富に含まれるとされる小惑星「1998 KY26」への11年に及ぶ旅路だ。きっと次も世界にアピールできる成果を上げてくれることだろう。

先進国が先端科学技術を競い合う宇宙開発での日本の活躍は、国民に夢や希望を与え、子どもたちの科学への関心を育んでくれる。新型コロナウイルスによる閉塞感を打ち破り、未来への夢と元気を産み出す契機となって欲しい。