悩ましき日々

朝日28%、毎日24%、読売31%、共同33%。
各社の最新の世論調査による内閣支持率だ。低いことは低いのだが、意外にも前回調査から若干上昇の傾向が見られる。
内閣不信任案を巡って、民主党内であれほどの茶番劇が繰り返されたというのにどういうことか? 総理がかわいそうという、判官贔屓だろうか?? それとも菅内閣終焉へのご祝儀相場か?? 

アンケート結果への疑問はさておき、「一定のメド」を呪文のように唱え、総理の椅子にしがみ着く菅首相におかまいなく、永田町はポスト菅に向けに走り出した。

誰が日本の新しいリーダーになるのかはあえて予想しないが、私は、これからの指導者には3条件が必要だと考える。
第一に「与野党を問わず、幅広く信頼を得られること」
第二に「私利(党利)私欲を捨て公に尽くせること」(個人的な人気取りを狙った、場あたり的パフォーマンスはもってのほかである。)
第三に「政策に通じ、官僚機構を使いこなせること」
もっとも、民主党が解党しない限り、新しい代表が首相になるのだろうから、まずは「民主党内を掌握する力量があること」が第一か?(これが最も難しいのかもしれない…)

新総理選出後の与野党協力のあり方についても、大連立か、閣外協力か、という議論が展開されている。
大連立ということなら、例え、震災復興に限定すると言っても、最低限、外交や安全保障に関する政策合意が無くては対外的に説明できないだろう。
閣外協力にしても、膨大な復興財源確保のために、せめて“ばらまき4K政策”は放棄してもらわねばなるまい。

しかし、大連立か閣外協力かはともかくとして、大事なことは、今回の政策協議が成立すれば、「衆参ねじれ国会の下での政策合意の枠組み」が形作られるということだ。
安倍政権以降のねじれ国会は、日本の政策運営を大きく停滞させてきた。福田政権時の日銀総裁人事、道路財源の暫定税率に関する民主党の理不尽な対応は、その最たるものだ。
二院制を採用する国家は多々あり、必ずしも両院の多数派が同一とは限らない。現在のアメリカのように、大統領の支持母体と議会の与党が異なることもある。しかし、各国とも知恵を出して着実に政策を取りまとめ、実行している。

今、我が国の政治が為すべきは、新しい時代の政策合意形成システムを構築することだ。
政策課題は震災復興のみではない。社会保障制度と税制の一体改革、沖縄の基地問題をはじめとする安全保障問題、TPP加盟をめぐる通商政策、原子力のあり方を含むエネルギー政策等々、あらゆる政策議論を進めるためにも、与野党協議の枠組みが必要だ。

昨年の参議院選挙後から、私は一貫して社会保障制度の見直しをテーマとした「与野党協議」とその前提として民主党マニフェストの凍結を主張してきた。
それが安心社会を実現し、次世代へ負担を先送りしないための「未来への責任」と考えたからだ。

「遅すぎる!」と言いたいところだが、日本の将来を左右する政策課題について、与野党が同じ席に着き、前向きの議論を繰り広げることは、大いに歓迎したい。
もっとも、与野党協調が進むほど遅くなるのは総選挙。ベンチで出番を待っている私としてはいささか悩ましいことではある‥‥。
しかし、それは昨今の永田町の姿にいらだつ日本国民の政治不信を思えば、小さな悩みなのかもしれない。